【槙原寛己の視点】投手陣に不安 過去3度のWBCと比べ最も悪い
◇侍ジャパン強化試合 日本9―8オランダ(2016年11月12日 東京D)

国際舞台でタイブレークを経験できたのは収穫だ。20年の東京五輪も含め、選手には貴重な体験になっただろう。延長10回無死一、二塁の守備では内野陣が猛チャージ。相手にバントを諦めさせ、強攻策に切り替えるよう追い込んだ。その裏は、重圧のかかる場面で大野がしっかりとボール球を見極めた。
ただ、本大会ではこれだけ失点しては勝ち上がれない。現状の投手陣は、過去3度のWBCと比べて最も悪いとの印象がある。何より、滑りやすいボールに対応できていない。先発・石川は2回、先頭打者に決め球のシンカーが抜けてしまい死球。「滑る」との思いが強くなりすぎて、自分の投球に集中できなくなった。メキシコ戦を含めてチームは3試合で19失点と、不安は大きい。
来年の本大会では大谷、菅野らが先発の軸になるだろう。しかし2人とも今回の強化試合は登板しない。日本シリーズの疲労などが考慮されている大谷だが、1イニングでもいいから投げて、実戦でWBC球を体感してほしかった。いくらブルペンで準備しても、実際に試合で投げることはまるで違う。直球はもちろん、フォークなどが抜けないか。本番では、その対応能力が問われる。