【ドラ1対談】正義「160キロ出して将来メジャー」千隼「正義の存在でかすぎる」
今年の超目玉ルーキー同士の新春対談が実現した。昨秋のドラフトで5球団が1位指名で競合し、ソフトバンクに入団した田中正義投手(22=創価大)と、「外れ1位」ながら同じ5球団の競合の末にロッテに入団した佐々木千隼投手(22=桜美林大)。初めての対談でお互いの印象、同世代の日本ハム・大谷翔平投手(22)や20年東京五輪への思いなどを本音で語り合った。 (取材・構成=松井 いつき、渡辺 剛太)

――ちゃんと話すのは初めて?
田中 そうですね。
佐々木 自分は高校時代から知っていました。
田中 僕も大学の下級生のときから、何でもっと名前が出ないのかなって思っていました。
佐々木 凄くうれしいです。正義にそう言ってもらえると。
――昨年10月の関東地区選手権で初対決。佐々木投手が1失点完投勝利で、田中投手は4回4失点だった。
佐々木 やっぱり凄いボール投げるなって見ていた。えげつなかった。
田中 あのときはミスで点を取られて、流れを止められなかった。
佐々木 「田中正義」っていう存在がでかすぎて、意識しちゃいますね。トレーニングの考え方とか聞いてみたい。
田中 球速はこだわりないよね?僕は160キロを投げたい。相手を圧倒する球を投げたいので、筋肉量が必要になる。将来、米国にも行きたい。日本にいるなら150キロ台でいいと思うけど、米国で本気で通用しようと思ったら、160キロ近いボールは絶対に必要になる。そこそこの選手で終わりたくないので、体を鍛えるっていう考え方です。
佐々木 凄い。
田中 大学生にボコボコに打たれるけど(笑い)。
佐々木 僕は球速を求めないけど、体が強くなって球速が上がった。
田中 筋力が付いたから、勝手にスピードが出た。そんな感じ?
佐々木 そう。
田中 僕は今のフォームだと変化球をコントロールするのはきつい。フォームを完全に変えようとしている。
――お互いの投球の連続写真を見た感想は?
田中 僕は自分の体の範囲から出ているんですよ。感覚的なものだけど、(佐々木は)収まっている。無駄がない。
佐々木 この投げ終わりが凄いよね、バーンって。僕も空振りを取れる真っすぐが欲しい。
田中 それが自分の良さでもあるので、それを消さないように、自分の体の範囲内で動かせるようになれば、もうちょっと良くなると思う。
佐々木 手がメッチャでかい。
田中 だからフォークを投げる。
――お互いに、ここは負けないって思うところは?
田中 体格(笑い)。
佐々木 球速も全部(田中が上)でしょ。
田中 (佐々木の方が上なのは)打者を打ち取る引き出しの多さ。どの球種でもいける。スライダー、シンカーと?
佐々木 右打者の外にたまにフォークを投げる。
田中 ここが凄い。僕なんか…。
佐々木 フォーク投げるじゃん。
田中 中学生レベルだから。
――同世代には日本ハム・大谷もいる。
田中 僕がどうこう言える立場ではないけど、僕はあのレベルを目指しています。
佐々木 雲の上の存在なので、正義を通して何か吸収できれば。
田中 肩を並べて報道されるのがきついよね(笑い)。
佐々木 同い年っていうだけで…。高校時代から世界が違いすぎて、自分がやっている野球は何なんだろうって。
田中 高校で160キロ出していて、あんな人間がいるんだなと。見ているものがたぶん人と違うと思う。僕もその景色を見られるようにしたい。
佐々木 大谷君は世界一を目指してもおかしくないけど、自分は世界一を目指せる技術はないから、自分なりに目標を決めてやっていきたい。
――5年後はどんなイメージを描いている?
佐々木 日本を代表する投手になりたい。
田中 五輪に出たい。
佐々木 代表で一緒にやりたい。
――プロで投げ合いたいか?
田中 同学年対決で盛り上がっている中で、初回に3失点とかしたくないな(笑い)。
佐々木 投げ合いたいとかはない。やっぱり、代表で同じチームになりたい。
――最後にお互いへのメッセージを書いてください。
田中 「2020年 共戦」ですね。
佐々木 「東京オリンピック金」です。一緒に獲りたい。
≪ドラフトともに5球団から指名≫昨年10月20日に行われたドラフト会議で創価大・田中は日本ハム、ソフトバンク、ロッテ、広島、巨人の5球団から1位指名された。抽選の結果、ソフトバンクが交渉権を獲得。桜美林大・佐々木は田中の抽選に外れた日本ハム、ロッテ、広島、巨人、さらに明大・柳の抽選で中日に敗れたDeNAも加わり、5球団から指名された。外れ1位ではドラフト史上最多の競合となり、ロッテが交渉権を獲得した。