雄星、衝撃の実戦デビュー!メジャー強打者を斬り斬り舞い
◇オープン戦 マリナーズ11-3レッズ(2019年2月25日)
西武からポスティングシステムを利用してマリナーズに移籍した菊池雄星投手(27)が25日(日本時間26日)、レッズとのオープン戦で実戦デビューした。先発で2回1安打2失点。守備の乱れによる失点だったが、自責点は0で初白星も挙げた。直球は最速で95マイル(約153キロ)。10年ナ・リーグMVPのジョーイ・ボット内野手(35)から空振り三振を奪うなど、メジャーを代表する打者たちを封じ込めた。
花巻東時代から夢見たメジャーの舞台。実戦デビュー戦を迎えた菊池は、ベンチ前でウロチョロとしていた。
「流れがイマイチ分かんなくて。周りを見ながら…。流れが分かんないまま入っちゃいました」。ルーキーらしい初々しさをのぞかせたが、マウンドに立てば堂々としていた。
2番からボット、プイグ、スアレスとオールスター経験者が並んだ。「一人一人、テレビで見た選手だと。そう思いながら楽しく投げることができた」。まずボットを大きく縦に割れるカーブで空振り三振。10年MVPで通算打率・311、269本塁打を誇り、選球眼に定評があるミスター・レッズは「あのカーブはオーマイゴッドだ。カーショー(ドジャース)クラス。一番印象に残った」とサイ・ヤング賞左腕を引き合いに出したほどだ。さらに菊池はドジャースから移籍した昨季23発のプイグを93マイル(約150キロ)の内角直球で詰まらせて一ゴロに。「有名な選手。自信になった」と胸を張り、3人で片付けた。
2回は味方の2失策が絡んで2点を失ったが、最後は圧巻だ。8番パターソンの初球にこの日最速の95マイル(約153キロ)を計測。3球目の94マイル(約151キロ)の内角直球でバットをへし折り、遊ゴロに仕留めた。「生命線の直球がいい形でいけた。毎年(最初は)スピードが出なかったらどうしようという不安がある。初戦で95マイルまで出たのはホッとする」。捕手ナルバエスとは英語で話し、コミュニケーションも完璧だ。
「メジャー仕様」の投球も試した。2回、先頭のスアレスには四球を与えたが、カットボールを3球投じた。140キロ台後半で鋭く曲がり、昨季34発の4番打者も舌を巻く。「カッターがいい。バックドア、インサイド両方とも凄く良かった」。7番アービンにはツーシームも試投。メジャーの強打者はスイングスピードが速く、手元まで引きつけて打つ。ヤンキース・田中もメジャー移籍後に磨いたように「動く速球」は効果的だ。
「オープン戦とはいえ、目指していた場所にやっと立てた。実感が湧いてきた」。次回登板は3月2日(日本時間3日)のロイヤルズ戦。全ての球種を磨き上げ、日本No・1左腕の実力を見せつける。(笹田 幸嗣通信員)
≪米メディアも称賛≫菊池のオープン戦初登板を米メディアも称賛した。地元紙シアトル・タイムズは「“とても良い”よりももっと良い」と見出しをつけた。「最も選球眼の良い打者の一人であるボットを、三振に仕留めたシーンは印象的だった」と伝えた。大リーグ公式サイトも三振の場面に触れ「今後メジャーで多くの三振を奪うのは疑いないが、最初の一つは記念に残るものとなった」と紹介した。