斎藤隆氏が見た雄星の実戦初登板 球威十分の直球 課題はセットポジション
◇オープン戦 マリナーズ11-3レッズ(2019年2月25日)
メジャーで7年間プレーし、現在はパドレスの球団アドバイザーを務める斎藤隆氏(49)が、菊池のオープン戦初登板を現地で観戦。上々のデビューを飾った左腕について、収穫と今後の課題を解説した。
(1)実力を証明したボット&プイグ斬り
走者がいない時の投球は抜群だった。初回1死。ボットには2ボールと先行しながら平行カウントへの持っていき方が特に良かった。あのクラスの左打者に対してファウルと見逃しで2―2とし、高めのカーブで空振り三振に仕留めた。高めは狙ったわけではないと思うが、空振りが取れたということは腕が振れている証拠。直球も三塁方向にファウルが取れていた。続くプイグも直球で詰まらせた一ゴロ。直前の低めのスライダーは見逃されたが、あのボールが効いていたので、打者は差し込まれた。2回も走者がいなくなった時に95マイル(約153キロ)。この時期にこれだけ出るのは凄い。
(2)セットポジションに課題
走者を置いた2回はボールが弱く見えた。2段モーションが使えないからか、少し制球にばらつきも出たし、初回とは別人と言ってもいいくらい差が出た。雄星はスライドステップ(クイック)のタイムが約1・2秒で速い。他の投手は1・4秒を超えている。微調整するならば、1・3秒くらいでもいいから、もう少し軸足から踏み込みまでの体重移動をしっかり行うか、小さく2段モーションを取り入れるか。セットの時はフォームのどこかを調整する作業が必要かもしれない。
(3)乾燥気候への対応
決めにいった変化球が浮いた。高めに浮くのが悪いわけではないが、自分が思ったよりボールが浮いたのは打者には分かる。滑らないように変化球はボールを長く持ちたくなるが、持とうとすればするほど抜ける。リリースポイントを変えてみるのも手だ。強く回転をかけようとするよりは、思いきってボールを離した方がいい。ただ、全体的には非常に良く、改めて能力の高い投手だと感じた。走者がいない時と同じように投げられれば、雄星は無敵になる。(パドレス球団アドバイザー)