侍ジャパンとの強化試合はメキシカンリーグ選手中心 元日ハムメンドーサらも


 恒例となった侍ジャパン春の強化試合。今年秋にはプレミア12、そして来年には東京五輪、再来年にはWBCと立て続けにトップレベルの国際大会が控える中、稲葉監督が今回選んだメンバーは、若手中心となった。これはこの秋からの「本番」に備えたショーケース的な意味合いが強いだろう。そういう意味では、今回の相手、メキシコはちょうどいい相手だと言える。

 今回のチーム・メキシコの構成は、メキシカンリーグの選手中心だ。メキシカンリーグは、メキシコのトップ野球リーグだが、歴史的な経緯からMLB傘下のマイナーリーグ統括組織・ナショナルアソシエーションに加入し、3Aのランキングが与えられている。しかし、実際は選手の中にも2Aという認識をもっている者もいるように、両者の中間的なプレーレベルと考えてよい。

 当初、昨年メジャーで20ホーマーを放ったビヤヌエバ(巨人)、前回の強化試合に参加していた代表常連のナバーロ(阪神)らの名も挙がったのだが、結局、NPB組は今年からオリックスに加入する昨年の3A二冠王・メネセスだけになってしまった。昨年、20本塁打以上を記録したのはこのメネセスひとりだけ。彼が昨年19ホーマーのルイス・フアレス(ユカタン)とともにクリンナップの一角に入るのだろうが、彼ら以外は、基本的に出合い頭の一発に注意すれば、フェンス越えの心配はあまりない。

メキシカンリーグは「打高投低」を特徴とする。例年、規定打席数達成者の半数ほどは3割バッターだ。シーズンによっては、3割打者が規定打席数達成者の8割にも上ることがあった。昨年後期も、首位打者のオルモ・ロサリオと日本でもプレー経験のあるユニエスキー・ベタンコート(元オリックス)が4割をマークした。しかし、ボールが飛びやすい高地にフランチャイズを置くチームが多いにもかかわらず、ホームラン数は少ない。メキシコ人に長距離砲がいないわけではないのだが、長打力のある打者は、MLBと契約してアメリカに行ってしまうのが常で、日本と同じくメキシカンリーグ各チームは、長打をドミニカ人に代表される助っ人に求めている。したがってメキシカンリーグで代表チームを組むと、必然的に小粒な打線になってしまうのだ。

 投手陣に関しても、先発陣にはパワーピッチャーは少ない。アジア人にはないクセのあるストレートにさえ適応できれば「若侍」たちにも対応可能だろう。

 先発に関しては、昨年メキシカンリーグで好成績を残した右のホセ・サマヨア(ユカタン,前後期合計9勝)、左のカルロス・エルナンデス(ティファナ, 同10勝)が妥当なところだろう。とくにサマヨアはウィンターリーグでも5勝敗けなしと好調を維持しており、侍ジャパン相手にどの程度通用するか楽しみなところである。ただ、日本のファンのことを考えれば、かつて日本ハムで活躍したベテラン、ルイス・メンドーサ(メキシコシティ)の凱旋先発登板もあるかもしれない。

 また、ブルペン陣には広島でなかなかチャンスがもらえず1シーズン限りで日本を去ったザカルト(ザック)・フィリップス(モンクローバ)が控えている。左のワンポイントとして清宮らとの対戦を期待したい。クローザーには前回の強化試合のメンバーでもありこの冬のメキシカンパシフィックリーグで16セーブを挙げたジェイク・サンチェス(ティファナ)が控えている。
 今回のメンバーには、先に挙げた投手の2人の他、ラミロ・ペーニャ(元広島, モンテレイ)、ルイス・クルーズ(元ロッテなど, ティファナ)の2人の野手も名を連ねている。彼らの元気な姿を見るのも野球ファンには楽しみになるだろう。