【準硬式】先輩たちが本音トーク“ジュンコー”大好き座談会(後編)
選手やマネージャー、連盟役員など、準硬式野球の世界で活躍する5名の学生を招集。内にいるからこそわかる、マイナーだけ ど楽しすぎる“ジュンコー”の魅力を語ってもらった。
海外遠征など野球以外でも
貴重な経験ができる
——一言で準硬っていっても、雰囲気もレベルも方針も全然違うんだね。みんなにとって準硬式の魅力ってどこ?
井上 高校野球との一番の違いは、学生主体で運営していることです。日大だと、平日は学生しかいないので、キャプテンが課題に即した練習メニューを決めています。局面ごとにみんなで意見を出し合って方針を決めていきますが、選手の背景もそれぞれだから、いろんな意見がでる。それを自分たちで取捨選択して進めていく。その裁量は硬式よりも大きいと思います。細かいことは個人に任されることも多いから、自分で考えて行動する癖がつきました。
吉田 ぼくはインドネシア遠征に行って価値観が変わりました。大学卒業したら一般企業に就職しようと思っていたんですが、さらに上にいきたいなと思うようになったんです。そうしたら、今度ジャイアンツのアカデミースクールのコーチ研修生として参加できることになったんです。これも、準硬だったから得られたチャンスです。硬式だとプロアマ規定に引っかかって参加できないんですよ。

帝京大学・経済学部経済学科所属。準硬ではレアな男子マネージャーとして練習補佐や選手のケアまで幅広く活躍。
篠原 海外遠征のチャンスは、硬式よりも準硬のほうがたくさんあると思います。オーストラリア遠征もありましたもんね。わたしもインドネシア遠征に行き、現地の子たちと野球を通して交流しながら、貴重な体験をしました。あと準硬では、自分で気づいて、考えて、動くという機会がたくさんあるのですが、そういうスキルは仕事でも役立つよと先輩に言われました。
中島 昨冬の9ブロック大会、マネージャーとして関東チームに帯同することになり、 二泊三日の大会の行程作りをゼロから担当したんです。現場の大阪も詳しくないから、アプリを駆使して移動時間を計算するなど、めちゃくちゃ大変で泣きながらスケジュールを組みました。その甲斐あって順調に進んでいたのですが、最後の最後で新幹線に乗り遅れるという失敗を犯してしまい……。

日本大学・法学部法律学科所属。野球好き一家で育った日本大学三崎町チームのマネージャー兼関東連盟役員。
女子 きゃー!!!
中島 当時は凹みましたが、いまとなっては普通の学生生活では味わえないいい経験をさせてもらったと思います。
渡邊 準硬の魅力は2つあって、1つ目がアットホームなところ。学生記者さんからも雰囲気がいいと評判だし、部員の保護者とも仲良しで「あ、●●くんのお母さん、こんにちはー」なんてよく会話しています。もう1つが、マイナーだからこそいろんな可能性があること。硬式の六大学野球とかだと、スポンサーとかいろんな組織が関わっているから何かを変えようと思うと大変だけど、準硬なら気軽にチャレンジできる。そんな魅力を感じています。
マイナーゆえの笑い話や恋愛事情
気になる準硬のいろいろ
——ここからは普段はなかなか聞けないトークも。大学に入ったら恋愛したいっていう高校球児も多いと思うんだけど、みんなのところの恋愛事情ってどんな感じ?
吉田 部員の半数くらいが彼女ありかなー?
渡邊 うちも安定したカップルは半分弱くらいかな。例年、1年生はフラフラしていて、2年の春くらいから定着していく傾向があります(笑)。

立教大学・経営学部国際経営学科所属。高校時代から野球部のマネージャー。昨年から関東連盟の学生委員に。
中島 うちも、マネージャーと選手が部内恋愛してます。
井上 日大は実は付き合ってる、みたいな人が多いです。部内での恋愛はあまりないかな。
——じゃあ、ちょっとマイナーな準硬あるあるを聞かせて!
渡邊 バイトの面接で「準硬式やってます」って言うと、100%聞き返されます。ボールの説明を何度したことか……。
一同 わかるー!!!
篠原 領収書は大抵、「準公式野球」って書かれます。

中央大学・経済学部経済情報システム学科所属。高校時代は陸上選手。ガッツ溢れるマネージャーで新人戦委員長。
一同 あるある(笑)。
井上 貸切バスにも「純公式野球部様」にされました。ジュンもコウシキも違う……。
一同 (笑)。
渡邊 球場までのアクセスが悪い。氷買っていくのが大変です。
一同 わかるー!!!
中島 車で行くに限ります。
篠原 車があるととても便利だよね。
井上 お客さんもっと来て欲しい。

日本大学・スポーツ科学部競技スポーツ学科所属。実行委員長と新人戦の委員長を兼任。チームでは内野兼捕手。
一同 うんうん!
渡邊 お客さんといえば、近所の方かOBさんか保護者の方々。無料で観られるから、一般の方にもぜひ観に来て欲しいです。
篠原 球場を押さえるとき、「軟式と硬式」しか選択肢がないときとか困るよね。
一同 (笑)。
——最後に、準硬やってきて一番心に残っていることを教えて!
篠原 たくさんあるけれど……先輩たちが引退されるときに「準硬に入ってくれてありがとう」って泣きながら抱きしめてくれたこと。号泣しちゃいました。部員たちとはケンカするほど距離が近くて、その分大変だけど、一生モノの深いキズナができます。
吉田 東都リーグの1部に復活できたこと。鶴田選手と入れ替わりに入った代で2 部に落ちてしまってからのプレッシャーが辛かった。東海大さんと競りながらなんとか1部に昇格してからは、メーカーさんからサポートを受けられるようにもなり、結果を出せば気持ちだけではなく環境面も変わることを実感しました。
井上 永遠のライバルである中大との戦いです。中大との戦いとは、絶対に3戦目までもつれ込むんですよね。対戦相手が中大となると、正直部員の目の色が変わります。
篠原 うんうん。
吉田 日大対中大の試合は両校ともにオーラがあってすごい! ぼく学校が近いので空いた時間に観に行くこともあるんですが、東都リーグの醍醐味ですね。
中島 昨年、創部初の全日に出場したことかな。予選会で競り合ったチームが苦手なチームで、いつもなら気持ちで負けちゃうところなんですが、今回は部員みんなが集中を切らさずに勝つことができたんです。ずっと全日出場を目標に掲げてきて、わたし自身こだわってきたから、すごく嬉しかったです。
渡邊 2年前の清瀬杯、早稲田に競り負けて準優勝に終わったことがあり、それ以来ずっと打倒早稲田でやってきたんです。実績は向こうの方が上なんですが、昨年のリーグ戦、気合で早稲田をとったら、そのまま明治も法政もとることができて、流れがきてるのを実感しました。結局勝率で負けちゃったんだけど、野球の面白さを再確認した出来事でした。
——準硬式にも、硬式に負けず劣らず、熱いドラマがあるんですね。ぜひ一人でも多くの人たちに知ってもらいたいね。
一同 うんうん!
(取材・文:高橋美由紀/写真:小沢朋範)