【前編】高校生のみなさんへ。 ハイブリッドな野球「準硬式」を一緒にやりませんか?

(突然ですが)高校生の皆さん、卒業おめでとうございます! 高校野球をやり遂げ大学に進む選手のみなさんは、大学でどんなことをしようと考えていますか? 進学先の大学で野球を「するか・しないか」を迷っている選手がいるかもしれませんね。そんな選手たちに、今日は「準硬式野球」を少し紹介したいと思います。準硬式野球には、硬式野球部とは少し違った世界があります。その特徴について紹介したいと思います。

準硬式には魅力もやりがいも満載!

①準硬式野球ってなに?
②どんなりやがいがあるの?

準硬式野球ってなに?

「外が軟式、中が硬式の、準硬式球(H号)を使います」

 「準硬式って何?」。多くの選手は、まずこの疑問が浮かぶと思います。全日本大学準硬式野球連盟のHP(JBA 全日本大学準硬式野球連盟 (junkoh.jp))によると「準硬式野球」とは、簡単に言うと以下の通りです。

①ボールが違います。表面がゴム(軟式)、中身が樹脂と糸(硬式に似た素材)のH号ボールを使います。


準硬式で使用するH号球。外側が軟式、中身が硬式。球速が3~5キロ落ちる、変化球の曲がりが独特…など、硬式との違いに面白みを感じる選手が多い。

②金属バットを使用します。大学、プロ野球が木製バットを使うのに対し、高校野球と同じバットを使用します。

③その他の道具は硬式用。グローブ、ミット、プロテクター、スパイク等、野球用具は硬式用を使用します。

④野球場は硬式用。

⑤ルールは同じです。全国軟式野球連盟の傘下であることから一部軟式を準用しますがほぼ硬式と同じです。

大会運営は学生が中心に行います。産学運用や、SDGs、サステナブルなど、野球を軸とした幅広い活動で社会貢献しています(2020年学生委員メンバー)。

 準硬式の発祥は戦後と言われています。物資不足を補うために耐久性の高いゴムで覆われたボールで野球を楽しもうというのが目的だったようです。準硬式は日本にしかない競技です。もともとは中学、高校向けに開発され、特に関西地区で広まりました。元巨人でメジャーでも活躍した桑田真澄投手(52歳、巨人1軍チーフコーチ補佐)が八尾中学野球部時代に大阪の中学準硬式野球の大会に出場したという話は有名ですよね。現在は主に、大学野球で盛んにおこなわれていて、全国で約1万1000人の競技人口がいます。この数字は、硬式野球、サッカー、バレーボールに次いで4番目の多さだそうです。
関東の強豪校のメンバーの中には、全国大会出場歴を持つ選手や、甲子園に出た選手もいます。レベルは決して低くはありません。2020年のドラフトでは、福岡大学準硬式野球部の大曲錬投手(西日本短大付属出身)が西武ライオンズから5位指名を受けるなど、プロに進んだ選手もいます。「準硬式からプロ」という道もゼロではないのです。

やりがいは?

「教職取得、日本一、医学部との両立…人生に合わせてさまざま」

 次に、どんな選手が準硬式を選んでいるのでしょうか。選手たちに聞くと、大きく5つに分けられます。

①教員免許取得など、学業と部活を両立させたい選手。

②野球を通じての人間形成をより深めたい選手。

③高校野球でケガや、敗戦など、不本意な思いをした選手。

④仲間と一緒に、再び野球で「日本一」を目指したい選手。

⑤医学部や薬学部など、大学に硬式野球部がない選手。

この他、動機はさまざまです。いろいろな思いを持った選手が集まる多様化した野球部、と言ってもいいかもしれませんね。

 全国の加盟は約282チームあります。9つの地区に連盟があり、春と秋のリーグ戦で優勝を争います。準硬式の最大のチャンピオンシップは、8月の「全日本大学準硬式野球選手権大会」(スポーツ庁後援、開催地は全国持ち回り)です。71回の歴史があるメインイベントで、各リーグの代表校24校でトーナメント戦を戦います。ここで優勝し、文部科学大臣杯を手にすることが最大のやりがいと言えるでしょう。選手権のほかに、9月には清瀬杯、11月には9ブロック対抗戦という全国大会に準じる大会もあります。日本代表チームを選抜し、海外遠征や国際交流、野球支援を行う機会もあります。「準硬式」は世界へと拡がりを見せているのです


全国大会の代替大会として行われた関東地区のサマーチャレンジカップ(8月)は、日本大学が優勝した。

準硬式をやるメリットって!?
後編はコチラから。