『監督からのラストレター』敦賀気比高校/東哲平監督

甲子園経験者を多く残したチームに大きな期待を寄せてきたが、その希望は夢に消えた。しかし、汗を流してきた時間と有終の美で終えた夏は色褪せない。成長の原点となる気比のグラウンドで、東監督は3年生の姿を再び見られる時を心から待ち望んでいる。その時は、この1年のことを笑って話せる日になっていることを願って。(書籍『監督からのラストレター』から引用)

甲子園優勝を本気で狙えるメンバーだった

敦賀気比高校30期生の選手諸君。3年間、おつかれさま。
この学年は夏の甲子園で優勝を本気で狙うことができる能力の高い選手が集まっている学年だと思っていました。北陸勢として初めて全国優勝したセンバツから5年。次はこの学年で夏の優勝旗を獲りにいこうと意気込んでいた私にとっては、この1年は本当につらい1年になりました。でも、そんな私以上につらかったのは君たちでしょう。

2020年は、突然、新型コロナウイルスという感染症が流行し、3年生にとって取り返すことができない大切な1年を奪われたように感じています。でも、これから君たちにできることは、何年後かに 「あの1年があったから今の自分がある!」と振り返れる人間になることだと思います。

もしかしたら、今はまだ〝そんな日が来るはずがない〟と思っているかもしれません。でも、これからの生き方次第でそう思える日が来るはずです。だからこそ、今まで以上に強い自分でいてください。それぞれが、それぞれの道で活躍してくれることを楽しみにしています。

卒業しても、いつか敦賀気比高校のグラウンドに戻ってきてください。その時に君たちと、この1年のことを笑って話せる日が来ることを願っています。

君たちのこれからの人生が光り輝きますように……。

そのためにも、しっかりと志を持ってこれからの人生を歩んでいってください。成長した君たちとグラウンドで再会できる日を楽しみにしています。

敦賀気比高校
硬式野球部監督 東哲平

※書籍の内容と一部異なる場合があります

敦賀気比高校

1986年に創立、野球部創部。創部9年目の94年夏に甲子園に初出場し、95年夏は4強。2015年センバツでは北陸勢初の全国優勝を達成した。内海哲也(西武)、吉田正尚(オリックス)らプロ野球で活躍するOBも多数。