田中将大が「契約破棄する可能性はない」 球団幹部の“読み”をNY記者が紹介


田中将大が昨季同様の成績を残し、FAとなれば、現在よりも条件のいいオファーが舞い込むことは確実とされている。つまり、活躍するほどオプトアウトを選択する可能性が高まると周囲は見ているが、地元ラジオ局「WFAN」で長年ヤンキース番を務めるスウィーニー・マーティ記者は、「CBSニューヨーク」に掲載された記事の中で“真逆”の見解を示している。ヤンキース関係者らは、田中がオプトアウトすることはないと見ているというのだ。

■田中の「活躍→契約破棄」の流れに“異論”

 ヤンキースの田中将大投手は昨季、メジャー3年目のシーズンを自己最高の成績で終えた。メジャー随一の名門球団でエースとしての立場を確立。今季もエースとしての働きが期待されているが、田中が好投すればするほど、球団やファンはジレンマに陥ることになる。2014年から7年総額1億5500万ドル(約179億円)の大型契約を結んでいる日本人右腕は、今季終了後に契約を破棄してフリーエージェント(FA)となれる「オプトアウト」の権利を持っているからだ。

 田中が昨季同様の成績を残し、FAとなれば、現在よりも条件のいいオファーが舞い込むことは確実とされている。つまり、活躍するほどオプトアウトを選択する可能性が高まると周囲は見ているが、地元ラジオ局「WFAN」で長年ヤンキース番を務めるスウィーニー・マーティ記者は、「CBSニューヨーク」に掲載された記事の中で“真逆”の見解を示している。ヤンキース関係者らは、田中がオプトアウトすることはないと見ているというのだ。

 記事では「2017年シーズン後、田中はオプトアウトするのだろうか? 恐らく、彼の肘が答えになるだろう」と指摘。シーズン開幕前から議論が白熱していることに触れ、「オプトアウトは避けられないように思える」としながらも、メジャー1年目の2014年に右肘靭帯部分断裂の重傷を負ったことが、まだ影響していると伝えている。

■オプトアウトなら「大金を手にする」も…右肘の状態が懸念材料に?

 同記者は、ある球団幹部が「彼がオプトアウトする可能性はない」と話していたことを紹介。さらに、ベテランスカウトも「オプトアウトするなんてどうかしているよ」と指摘し、エージェントは「(田中のオプトアウトは)非常にリスクが高い」と語ったという。さらに、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMが「どうあれ、我々はそのこと(田中のオプトアウト)に関して重点を置いていない」と述べていたことにも言及している。

 記事では、今年で29歳と年齢的に若いこともプラス材料となり、田中がオプトアウトすれば、大金を手にする可能性も十分にあるとする一方、右肘の状態が懸念材料になる可能性にも言及。「肘に不安を抱える投手に対し、チームはいくら払うのだろうか」と疑問を投げかけている。

 田中は昨季、31試合に登板して199回2/3を投げ、14勝4敗、リーグ3位の防御率3.07、同5位のWHIP(1イニングあたりの被安打+与四球)1.08をマーク。先発ローテーションの大黒柱としての立場を確立した。スウィーニー記者も、防御率、WHIPなどあらゆる指標でトップ5入りを果たしたことを特筆している。ただ、右肘の不安を完全に払拭したようにも見えるが、それでもなお、関係者は不安材料と考えているようだ。

 記事によると、球団幹部は「各球団が彼の状態についてどう見ているのかを知らないままオプトアウトするのは非常にリスクがある」と指摘し、「オプトアウトのことを考えても、彼は怪物的なシーズンを送らなくてはならないだろう」と話したという。さらに、他のスカウト2人が、「もし2017年の田中の成績が良く、問題がなければ、球団(ヤンキース)は短期契約を結ぶべきだ」と述べていたことも紹介している。

■FAなら3年115億円規模の契約も? 「健康面に問題がなければ…」

 田中は今季終了した段階でヤンキースと3年の契約が残ることになる。オプトアウトを選択するのは当然、より高い年俸、長い契約年数を引き出すため。ただ、スウィーニー記者は「ヤンキースは田中の肘について誰よりも詳しい」とも言及。もし、オプトアウトしてFAとなっても、ヤンキースが再契約を目指して大金を積む可能性は低いのかもしれない。

「フリーエージェント市場において、このようなクオリティを持つ先発投手は希少であるし、資金を持つ球団も増えている。3年1億ドル(約115億円)を得ることは可能だろうと、あるエージェントは語っている。もし彼の健康面に問題がなければ、各球団は彼に接近するだろう」

 他球団から年平均約38億円規模のオファーが届く可能性もあるが、記事ではある関係者が「彼はヤンキース選手になるため、ここへ来たんだ」と話していたことも紹介。“ヤンキース愛”が田中のオプトアウトにブレーキをかける可能性があるとの見方もあるようだ。

 名門球団のエースは、果たしてどのような選択をするのか。シーズンが開幕してからも、田中の契約を巡る議論は加熱していきそうだ。