阪神・西 開幕投手にはこだわらず 野球を楽しむ「打撃もしっかり」
◇新春球界インタビュー 阪神・西(2)

国内フリーエージェント(FA)権を行使してオリックスから阪神へ移籍した西勇輝投手(28)がスポニチ本紙の新春インタビューに応じ、新天地での決意を明かした。移籍1年目のテーマを「フル回転」と設定。昨季までのプロ10年間で未体験の優勝への思いや報道陣へ向けた異例の“お願い”まで幅広く語った。(取材・巻木 周平)
――DH制のないセ・リーグでは投手が打席に立つ。投球リズムなどに変化が出るのでは?
「あるでしょうね。交流戦の時に思いました。投手相手に投げるということは(打線の)切れ目も出来やすいし、ゲームを作りやすいのではないかなと思います。けど、自分も打席に立ちますので。その点はしっかりやっていきたい(※5)。10年前(高校時代)までバッターもやりながら投げていたので、そこは楽しんでやりたいですね」
――打撃は好き?
「好きでしたけど、10年前ですし…。難しい部分はあると思う。野球を楽しむという意味では、しっかりやっていきたいですね」
―自主トレを共にしている巨人・菅野(※6)との投げ合いもあり得る。特別な感情は?
「ありますね。やっぱり球界を代表するピッチャーなので。いいところを吸収したいです。尊敬に当たる人なので、プラスに捉えながら、この1カ月(オフ)もそうですし、シーズンを通して吸収できれば。その場(試合中)でしか感じられない事だと思いますけど、そういうものを考えながら投げたい」
――伝統の一戦に対する思いは
「昔から築き上げられてきたモノなので、崩すことなく、しっかり自分が貢献できたらいいなと思います」
――シーズン日程は頭に入っている?
「基本的に、常に(頭には)ないですね」
――開幕からいきなり昨季Aクラスとの対戦が続く(※7)。
「関係ないですね、そこは。別に。相手と野球するわけじゃないので。自分のプレーがどれだけ出来るかだと思っているので。1位の広島だからとか、最下位のチームだからとかは関係なく。“常に全勝するんや”という話じゃないですか。どこが来ようが。関係ないっす」
――開幕投手へのこだわりはあるか?
「全く(ない)。あまり気にしないですね。さっきも言いましたけど、1年間フルでやる。ただそれだけ」
――対戦したいと思う打者はいるか?
「誰ですかね…。あまり考えてないですね。どうなんですかね。何も考えてないですね。すいません、記事(作りの思惑)通りにいかなくて。あまりそういうのを気にしないタイプなので。書きたいでしょうね、(巨人の)丸さん!とか」
――昨季の阪神は甲子園で大きく負け越した。
「頑張ります。去年のことなので関係ないですね。僕は1年目なので。皆で底上げすればいいと思うし、周りがそう取り上げるだけで、選手の中には思っていない人もいっぱいいると思う。ただ、結果が悪かっただけで。まあ、結果を見られるスポーツですけど、今年やればいいだけの話です」
(続けて)
「もうちょっとプラス思考で書いてくれればいいな…と記者の方には思いますけどね。マイナス思考で書いても意味ないですからね。見ている人も面白くないと思うし。プラス思考のことを書いていれば、選手もファンも楽しくなるんじゃないかなと思いますので、前向きにお願いします。阪神なら見出しで“勝てなかった!”と出ますけど、そういうのも、もうちょっと…。楽しいのかもしれませんけど、こっちからすれば楽しくない。まだやってもないのに『去年最下位』や『相性が悪い』とか。“まだやってへんから”と思うんです。今からやるんやから、もうちょっとプラス思考にお願いしたいと思っています」
――話を聞いていると、自分自身と向き合う事へのこだわりを感じる。
「自分がどの立場で、どこのポジションに向かっているのかということは、客観視をすれば分かると思っています。自分のプレースタイルがそうなのですが、すごく球が速いわけでもなく、変化球がたくさんあるわけでもないので、フィールディングだったり、けん制だったり、スキのない状態でいることが大事。客観視することで、自分がどうあるべきかが分かると考えています」
(※5)16年6月14日の阪神戦(甲子園)で2回に能見から左前打を放ってプロ初安打を記録。通算29打数2安打、打率・069。本塁打、打点はなし。
(※6)菅野とは15年秋のプレミア12で初めて侍ジャパンでチームメートになってから親交を深め、ハワイでの合同トレーニングは15年オフから4年連続4度目。昨年12月23日に日本を離れ、先乗りしていた菅野に合流した。過去に公式戦での先発対決はない。
(※7)3月29~31日は昨季2位のヤクルト、4月2~4日は昨季3位の巨人、同5~7日は昨季優勝の広島といずれも3連戦が組まれた。