とにかくデカい広島アドゥワ誠 10キロ増の先に見えるメジャーへの道
広島の新人6選手の入団発表が13日、広島市内のホテルで行われた。選手が入場する際、ひと際目立っていたのがドラフト5位のアドゥワ誠(松山聖陵)だった。何せデカい。ナイジェリア人のアントニーさんを父に、バレーボールVリーグのダイエーで活躍した純子さんを母に持つ右腕は身長1メートル96。エルドレッドと並んでチーム最長身だ。いまはまだ、スラッと細くモデルにでもなれそうな体型だが、数年後にはすっかり変わっていそうだ。

「まだまだ自分は細いので体づくりをしっかりしたい。(日本ハムの)大谷投手くらい(体重を)付けたい。100キロになれれば」
現在、体重は88キロ。大谷は身長1メートル93で昨オフには体重が100キロに達した。スケールとして“二刀流超え”は全くの夢というわけではない。その将来性には無限の可能性が秘められている。
大谷とは対戦も熱望しており、強く意識する選手の一人だ。ただ、最速145キロ右腕の投球スタイルは、三振の山を築く大谷とは異なる。「角度を生かした投球が自分の持ち味。球速は伸ばしたいけど、打たれにくい重い球を意識したい。チェンジアップと真っすぐのコンビネーションで打たせて取りたい」。今季セ・リーグ最多勝と最高勝率の2冠に輝き、同僚となる野村のような技巧的な投球を見せてくれることを期待する。
アドゥワは、変わったトレーニングによって下半身が鍛えられたという。沖縄尚学で99年選抜大会優勝メンバーだった荷川取秀明監督によって、冬に毎年課されていた砂浜疾走トレだ。松山聖陵のグラウンドは海の近くにあったことで、足が取られる砂浜で70メートル走を約30本、週に2、3回走らされていたという。週3、4回のジム通いなどもあって、高校2年の冬から3年夏にかけて約10キロの増量に成功。その成果もあり最後の夏はノーシードながら、同校を春夏通じて初となる甲子園へと導いた。
プロ入り後の約10キロ増の先には、広島のエースの座、そして夢見るメジャーへの道が開かれているかもしれない。(広島担当・柳澤 元紀)