巨人・阿部 2000安打で長嶋さんにいい報告を「人間的な大きさは抜けないから」
巨人・阿部慎之助捕手(37)がスポニチ本紙のインタビューに応じ、残り83本に迫った通算2000安打への思いを語った。達成すれば、巨人生え抜きの大卒選手では1971年の長嶋茂雄(80=終身名誉監督)以来2人目の快挙となる。入団1年目から正捕手として起用してくれた恩師に「いい報告ができるように」と節目の大台到達で、感謝の気持ちを伝える。 (聞き手・川島 毅洋、神田 佑)

――2000安打まで残り83本に迫っている。
「プロに入ったときは、2000安打なんて思ってもいなかったし、近づけるとも思っていなかった。来年はそこをクリアすることを目標にしたい」
――いつごろから2000という数字を意識したのか?
「去年くらいかな。残り100を切って、“ああそうなんだ”と思った。それまでは知らなかったから。意識は全然していなかった。(今季からコーチになった)井端さんが残り88本だったでしょ?並んだときに“追いついたな、俺に”と言われて、すぐ抜いたら“ほら抜かされたあ”って。それまでは全然、気がついていなかった」
――捕手での2000安打は過去に野村克也氏、古田敦也氏、谷繁元信氏の3人しかいない。
「今は捕手をやっていないけどね(笑い)。(3人に)近づけたのはうれしい」
――巨人の大卒選手で2000安打達成なら、くしくも恩師である長嶋茂雄氏以来になる。
「ヒット数、ホームラン数を抜かしたわけではないし、抜かしたところであの人の人間的な大きさは抜かせないから。“ここまでできました”という、いい報告ができるんじゃないかな」
――500、1000、1500安打と節目の安打は東京ドームで達成している。2000安打も本拠地で達成したい気持ちは?
「まあ、できたらいいけど。そればかりを考えてやりたくないから。どこの球場でできてもいいよ」
――ここまでの安打ペースなら、来年7月12日のヤクルト戦(東京ドーム)で達成となる。
「前半戦のうちにできるように頑張るよ。2000本やった人は、そこから吹っ切れるからね。(広島の)新井さんとかね」
――入団4年目に左方向への本塁打数が増えた。そこから安打のペースが上がった。
「あのころは飛ぶボールだったからじゃないかな(笑い)。でも、逆方向にも打てるようになって、ヒットが増えたのはあると思うよ」
――今年のオフはずっとトレーニングを継続している。
「今年は開幕前に右肩をケガしたから、その二の舞いにならないようにね」
――足の上げ方など、打撃フォームの改良に取り組んでいる。
「今はとにかく形はあんまり気にしていない。やれるときに量を打つ。去年のこの時期とは全然違う」
――来年は初めから一塁で打撃に専念する。
「専念できるというか、体調の管理をしやすいのが一番。精神的な疲労が捕手は大きいから、体が追いついていかないことが結構あるんだけど。一塁でも、精神的なストレスはあるけど、捕手に比べたら全然少ないから」
――今年は捕手での復帰を目指して右肩のリハビリをしていた頃、送球面で苦労していた。「へぼすぎる」、「もうやめようかな」という言葉も聞いた。
「本当にやめたくなるくらい思うようにいかなかったからね。自分の思っている軌道から、投げた瞬間から外れるからさ。今までのイメージでは目線の高さくらいだったのが、だいぶ上になってしまったから。そのギャップにいら立ちを隠せなかったね」
――打撃面でギャップを感じることはあったのか?
「飛距離も出なくなったなと思うけど、それは技術的な問題。直せばまた戻ると思っているよ」
――通算400本塁打も残り27本に迫っている。
「それも来年の目標にしたいね。もう一回、(13年以来の)シーズン30発は打ってみたいね」
≪来季達成ラッシュ≫2017年は「2000安打ラッシュ」のシーズンとなりそうだ。まずはアストロズの青木だ。ヤクルト時代に1284安打を放っている安打製造機は、日米通算で1965安打。残り35本で、シーズン序盤の達成が予想される。国内で最も近いのは、中日・荒木で残り39本。83本の阿部、104本のソフトバンク・内川は主軸として活躍しており、来季中の達成はほぼ間違いないだろう。ロッテの福浦は残り68本まで迫っているが、ここ5年は代打など出場機会が限られ、年間50本以下に終わっている。残り128本の阪神・鳥谷は再びレギュラーに定着できれば、達成する可能性は十分ある。