巨人・坂本勇、侍3番濃厚 小久保監督明言「クリーンアップの一角を」
3月開催の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する巨人・坂本勇人内野手(28)が2日、宮崎キャンプを視察した侍ジャパンの小久保裕紀監督(45)から「クリーンアップ」に指名された。昨季固定された「3番」での起用が濃厚。日本ハム・大谷翔平投手(22)が投手出場を辞退、打者としての出場も絶望的となった中、リーダーとして侍を世界一奪還へ導く。
「暗雲」を切り裂くかのようなマン振りだった。ロングティーにフリー打撃。坂本勇は背中に熱視線を感じながら、左翼席に計12発を運んだ。期待通りの打球を見届けた小久保監督は、初めてその起用法を明言した。
「現状では、クリーンアップの一角を、と思っている。ショートのレギュラー。チーム、内野手の要として引っ張っていってもらえれば」
長距離もある万能タイプは「3番」での起用が濃厚とみられる。1日に日本ハム・大谷が右足首痛を理由に、投手での出場辞退を発表。打者での出場も状況は極めて厳しく、チーム、さらには日本中に不安が走った。リーダーの統率力がますます重要になる中、指揮官は坂本勇に「侍の方でも大いに引っ張っていってほしい」と期待。28歳は「どこで打つにしてもしっかり準備するつもりだった。何番でも頑張りたい」と覚悟を口にした。
昨季は打率・344でセ・リーグ初の遊撃手首位打者に飛躍した。11月の侍ジャパン強化試合は1、3、6番で先発出場したが、似合うのは巨人と同じ「3番」だ。13年WBCで1、5、6番を打つなど、侍では4番と9番以外を経験。「3番」は5試合で15打数6安打4打点、打率・400と好結果を残す。これまでに小久保監督は打線構成について、青木の1、2番での起用と、4番を「筒香か中田」とすることを明言。坂本勇がメジャー戦士と主砲を結ぶパイプラインとなる。
巨人では主将3年目に突入した。高橋監督の信頼も厚く、小久保監督に対して「昨年からチーム全体を見渡して引っ張っていくという姿が出てきている」という太鼓判があったという。宮崎での先乗り合同自主トレでは、多くの若手に丁寧に自身の打撃論を説明する姿があった。大谷の投手辞退が発表された1日も、「僕が大谷君のことを、どうこう言うものじゃない。頑張ります」と極めて冷静に対処した。
WBC球での守備練習は、4日からのキャンプ第2クールで開始予定。送球時に「滑る」感覚を感じていて、右肘への負担も考慮しながら慎重に調整を進めることも小久保監督と確認した。巨人の主将から、日本のリーダーへ。「そういうところも含めて、チーム全体を見ながらやっていければいいのかなと思う」。世界の頂へ、侍のクリーンアップは坂本勇から始まる。(神田 佑)