【特別進路相談室】パイセンに聞く!野球留学のすべて「アメリカで野球をするということ」

いつかは考えなくてはいけない高校野球の“あと”のこと。いろいろな道があるなかから今回は、『留学』という形で野球を続けたパイセン(=先輩の意味)たちが集まってくれた。海の向こうで野球を続けるってどういうことか、学んでみよう!

第1回 アメリカで野球をするということ

全てが日本とは違う学びまくった四年間

佐藤新平パイセン「日本とは180度変わったことをするイメージ。びっくりしました」
神奈川県・光明相模原高でプレーしたのちに、野球留学。アメリカでは、2年連続で開幕投手を任されるなど活躍。卒業・帰国後は、留学で培った英語力を活かして企業のグローバル部門で働き始めている

——いろいろな選択肢があるなかで、留学を選んだ理由は?
佐藤 僕は、中学生のときからアメリカに行きたいという夢を持っていました。両親には、「日本の高校で、日本の高校野球をやってからにしなさい」と言われたんで、卒業後の進路に選びました。

本間 僕は日米野球をみたときに、すごいなって思って興味を持っていました。イチローさんがちょうどMLBに入った時期だったんで、あっちの野球をよく見ていたんです。将来的には指導者にもなりたかったので、大学に行って教員免許を取ろうかとも考えていたんですけど、アメリカにも行きたいっていう思いもあって、留学することにしました。

牧田 自分は普通に受験して進学するつもりだったんですけど、たまたま自分の試合を見ていてくれたアスリートブランドの方が、声をかけてくださって。高校野球が終わって、もう一回スタートを切り直すためにも、留学はいいキッカケかなと思って決断しました。

牧田恭平パイセン「立場の示し方が全然別。上下関係の作り方が違うんです」
都立城東高出身。高校時代は中心選手としてプレーし、海外留学。肩の故障などに見舞われながら、アメリカでも主力として活躍。卒業後は日本の某大手上場企業で働きながら、クラブチームにも所属し、野球も続けている。

——ズバリ、苦労した部分も多かったのでは?
本間 僕は、英語が得意ではなかったので、学校生活で先生が何て質問しているかわからなくて(苦笑)。いろいろな勉強法を試したんですが、なかなか進歩しなくて大変でした。質問に答えても別の返しが来たらどうしよう……みたいな毎日でした。

佐藤 僕は文化の違いに驚かされましたね。野球どうこうじゃなくて、例えば友達の誘いを断ることに、日本ほどネガティブなイメージを持って育ってきてないんです。だから、日本人だと嫌な感じに見えそうなときでも、自分の気分じゃないときは平気で断ったりする。小さなことですけど、衝撃でしたね。

牧田 自分は野球についてですけど、評価のポイントが日本とは全然違うんです。僕たちが今までやってきた“うまい”選手と、アメリカでのうまい選手の概念が全然違う。だから、なんであの選手が使われているんだろうと思うことも多かったですし、最初は不満でした(笑)。

——全てにおいて、日本で慣れ親しんだものとは違ったんですね。
佐藤 そうですね。これは僕たちが行ったアメリカに限らないことだと思いますけど、価値観含めて、違うんだと思います。僕らがいいと思ってやった行動も、あっちの人たちからしたら、なんでそういうことやるの? って思われることが、野球に限らずたくさんありました。ここまで違うかって、衝撃を受けましたし、勉強になりましたね。

意味のない練習はしない、何事も“効率”を求める文化

——いま現役の“後輩”たちは、野球の違いも気になると思うんですが、どんな違いがありましたか?
佐藤 僕はピッチャーなんですが、向こうはボールの回転の汚い選手がピッチャーをやりがちなんですよね。日本だと、スピンの効いた綺麗な縦回転のストレートを投げられる選手がピッチャーをするじゃないですか? あっちではそうではないから、僕からしたら180度変わったことを目指すようなイメージでした。ボールはシュート回転してOKで、むしろそういうボールを素晴らしいって言われるんです。びっくりですよね。

本間 僕は練習の仕方の違いが大変でした。僕のところはバッティング練習が毎日ではなくて、週3ぐらいしかかないんです。守備をやる日と、打撃をやる日に分かれていたんですが、日本の野球に慣れちゃっているからか、少なすぎると思って(苦笑)。理論も違うから、慣れるまで大変でした。

本間卓パイセン「『成長するために行く』のであれば、留学はいいと思います」
中学時代に経験した海外遠征で興味を持ち、高校卒業後にアメリカへと野球留学。在学中から、留学する学生たちのサポートをしたいと思いたち、現在は留学のアドバイスをする側にまわり、 後輩たちのサポートを行なっている。日大山形高出身。

——その他ではどんなところがありましたか?
牧田 僕は野球とはちょっと離れるかもしれませんけど、立場の示し方が全然別なのが新鮮でした。どこを切り取ってもそうだと思うんですけど、上下関係の作り方が違うんです。

本間 わかります。先生でも、僕たちに対する接し方が結構、ラフというか。普通に仲良さそうに話すんですよね。

佐藤 先生の価値観っていうか、存在意義みたいなのが、向こうでは違う印象を受けました。年齢的な差で上下をつけているんではなくて、僕らより知りたいことを知っている人っていう感じ。

牧田 そうそう。野球でいうと、審判の方との関係性がより顕著で、みんなすごいフレンドリーなんです。最終的にはジャッジは絶対っていう前提はもちろん変わらないんですけど、決して上からものを言うような感じはないんですよ。だから、あんまり言ってはいけないかもしれないですけど、日本に帰ってきてから野球をやると、審判の方がやけに厳しく感じますし、マナーとかにもうるさいなって思います(笑)。

一同 (笑)。

佐藤 日本に戻ってきて、たしかに逆カルチャーショックみたいなのは感じることはありますね(笑)。

——日本は練習量が正義みたいな文化がありますもんね(笑)。
佐藤 そうですね(笑)。あっちは練習に対する、美学みたいなものが違うんですよね。辛いけどあと1、2時間我慢して頑張ろう! とか、朝早くから集まって練習しよう! みたいな論調ではなくて、意味があるか、ないかっていう効率をすごく求めるんです。そういう文化の違いが、野球だけじゃなく、生活全部にあらわれているなっていう印象です。

——全てにおいて、“文化の違い”って言うのを感じられるというのが留学の大きなポイントのひとつと言えそうですね。
佐藤 そうですね。ただ、いま出たのはいいところだと思いますけど、それでけではないですよ。

本間 そうそう。よくないというか、日本のほうがいいなと思うことも多々あります。

牧田 例えば、監督・コーチとのミーティング中に、足を机の上にあげながら話を聞いちゃうような選手もアメリカにはいます。日本じゃ絶対にないような態度だと思うんですけど、違う文化の中ではそういう風に立ち振る舞うことに違和感を持っていない人もいるんです。さすがにその選手は怒られましたけどね(笑)。

——どんな選手が留学に向いていると思いますか?
本間 僕は、常に状況が変化してもOKみたいな、いい意味でこだわりのない選手がいいかと思います。自分がこれまで教わってきたことややってきたことにこだわりを持ちすぎている選手はアメリカでは続けられないかもしれないですね。「成長するために行く」というような思いを持てる選手がいいと思います。

牧田 それは間違いないですね。アメリカでも力を見せてやる! って、実力を誇示するために行ったら厳しい気がしますね。新しいことを吸収しに行くつもりでいたほうが、いろいろ学べるし、結果的に大きく成長できると思います。向こうからも受け入れられるのはそういう姿勢の選手だと思いますね。

佐藤 日本がこれからどうなるかもわかりませんからね。学生のうちにいろいろな経験をしておいたほうがいいと思うんです。間違いなく、いままでにない経験を積むことができると思うので、興味があれば留学したほうがいいと思いますね。(続く)


アメリカ野球留学はアスリートブランドで!
高校野球部向けの無料説明会も実施中

【お問い合わせ先】
http://www.athlete-brand.com/baseball/selection/
TEL.03-3230-0036(代表)