阪神ガルシア 視察の他球団スコアラーうならせた「球がすごく動く」
◇阪神・春季キャンプ(2019年2月6日)

吠えた。おかわりで投じたラスト1球。渾身(こんしん)の直球が梅野のミットに収まると、阪神・ガルシアは雄叫びを挙げながら左の拳を突き出した。沖縄・宜野座キャンプで移籍初年度の初ブルペン。スライダー、シンカー、カーブ、チェンジアップと全球種を試した。力配分は「まだ50%くらい」だが、実力の一端を示すには十分すぎる43球だった。
「今のところ、順調に来ています。最初のブルペンにしては良かったと思う。最初のブルペンとはいえ、気持ちが入ってしまうタイプですし、最後は気持ちが出ましたね」
動いた。この日は坂本で始まり、26球目から梅野がミットを構えた。「(球が)動きますね。素直な真っすぐじゃないから、ゴロが多くなる。だから(昨年は)十何勝もできたんでしょうね」。43球中ストライクは17球。心地よいミット音が少なかったのは、それだけ球が動く証しだろう。今季より甲子園で採用されるメジャー式の硬質マウンドにも「感触は良かった」とうなずいた。
ビビらせた。セ・リーグの複数球団が視察。ヤクルトの山口重幸スコアラーは感嘆のため息を漏らした。「計算できる投手。西投手も入って層は増した。投手王国ですね」。巨人の田中大二郎スコアラーは「球がすごく動く。巨人にとっては脅威になりうる」とうなった。中日の井本直樹スコアラーは「実績があるわけだから、阪神でもそこそこ投げてくる想定はしています」と警戒レベルを最大級に引き上げた。
満足させた。矢野監督は「ゴロを打たせるのがガルシアのピッチング。日本人投手はああいうボールはなかなか投げにくいと思うしね。だからこそ、日本のバッターには有効なピッチャーかな」と相好を崩した。広島と巨人から3勝ずつをマークするなど昨年13勝を挙げた助っ人左腕。後頭部をV字に刈り上げたタイガース・カラーのモヒカンがトレードマークだ。Vの使者は南国で着々とキバを研いでいる。(吉仲 博幸)