未就学児、小学校低学年を「野球好き」に!ベイスターズの「やきゅうみらいアクション」
NPB各球団の中には未就学児や低学年への普及活動を行っている球団も多い。9月初旬、横浜DeNAベイスターズの普及活動である「やきゅうみらいアクション」を取材した。
DB.スターマンがやってきた!
横浜市磯子区の岡村幼児園に、スターマン号がやってきた。園庭まで乗り入れた車からは、スタッフが降り立ち、素早く着替えをする。
園児たちがやってくる。この岡村幼児園は1歳から5歳まで153人が在籍している。
ベイスターズのマスコットあるDB.スターマンとオフィシャルパフォーマンスチームであるdianaのお姉さんと対面して、少し緊張気味の園児たちに、準備体操を兼ねたダンスのレッスンが始まる。dianaの動作に合わせて動いているうちに、子供たちは少しずつ表情が明るくなる。ベイスターズのユニフォームを着た子もいるのは土地柄だ。

ダンスが終わると、今度は年長組を対象にした野球教室。野球振興スタッフが指導する。最初はゴロをキャッチしネットへ投げ込むゲーム。チームに分かれてネットに入ったボールの数を競う。dianaのメンバーは、園児の目線まで腰を落として一人一人の動きを見守る。うまくネットにボールが入れば拍手する。ゲームのコツがわかってきた園児たちはだんだんエキサイトする。このゲームが2回行われた。

水分補給の時間をとって今度はティーバッティング。ティーに置いたボールをプラスチックのバットで打つ。最初はバットに当てるのもおぼつかない子供も、打ち方を教わって少しずつボールが前に飛ぶようになる。dianaはボールをティーに置くサポート。
この間、年小組、年中組の子供たちはスターマン号をバックに、DB.スターマンとの記念撮影が行われる。
最後は、DB.スターマンとdianaが横浜DeNAベイスターズの球団歌でダンスを指導。この頃には、子どもたちは一生懸命にダンスを覚えようとしている。
約1時間のプログラム。球団からオリジナルノートのプレゼントもあり、子供たちは大満足のようだった。
野球とダンスを広めるいい機会
岡村幼児園の女性職員は、
「やはり横浜ですから、ベイスターズのファンは多いですね。お母さんたちも本当は見に来たかったようです。子ども達もワクワクしていましたし、私も楽しかったです。これからもぜひお願いしたい」と語った。

dianaのひとり、Junonさんは、
「小学校まで男の子に交じって野球をやっていました。今年からdianaメンバーになったのですが、もともと子供たちが好きですし、ダンスと野球を広めるいい機会だなと思います。声は大きく、ゆっくり、わかりやすく話しかけるようにしています。スタジアムで踊るのも楽しいですが、こういう仕事も増やしていきたい」と語った。
小学校低学年の授業に元プロ選手が登場
横浜DeNAベイスターズは、小学校でも野球教室を展開している。
横浜市保土ヶ谷区の坂本小学校では、授業時間を活かして小学校1、2年生に野球教室を行った。
こちらは、体育館。日本ハム、横浜、ヤクルトなどで救援投手として活躍した島田直也、同じくベイスターズで救援投手として活躍した大原慎司の元選手とスタッフが指導をする。
体育館には父兄の姿もあった。野球ファンらしい父親は大物元野球選手の登場にちょっと驚いたような顔をしていた。


準備体操の後、ティーバッティング。島田コーチが打って見せると「おおー」という声が上がる。子どもたちがこれを真似てバットを振る。
最初からうまく打てる子もいれば、空振りを繰り返す子もいる。コーチたちは根気よくバットの握り方から指導する。

一通り終わるころには、体育館の床一面にボールが散らばっている。
「ボールを拾ってかごに入れよう。たくさん拾った方が勝ち」という声で子ども達が一斉にボールを拾う。あっという間にボールが元のかごに収まった。

水分補給の後、今度はボール投げ。島田コーチがゆっくりと投げる動作をして見せる。往年のマウンド姿をほうふつとさせる美しいフォームだ。
これを真似て、子供たちがボールを投げる。できるだけ大きな腕の振りで、体全体を使って投げるように指導する。
昔はボール投げができない男の子はまずいなかったが、今は「投げる」動作ができない子がたくさんいる。
再びボール拾いタイムがあって、今度は並んだ3つのティーに置かれたボールを、ボールを投げて落とす的当てゲーム。要領がわかった子供たちは夢中で的をめがけてボールを投げている。
記念のノートのプレゼントもあり、45分の授業時間中体を動かして、子供たちは上気した顔でコーチたちにお礼を言って体育館を後にした。この授業を1回の訪問で3回行う。
「ボール投げ授業」のいい導入に
担任の教諭は、
「子供たちがとてもいきいきしていたのが印象的でした。投げるという動作は、体の向きとか体重移動とか難しいですが、本物の方たちに学べたということが自信になってくると思います。この秋から1年生はボール投げの授業が始まるので、いい導入になりました」と語った。
島田直也コーチは、
「昨年11月から担当になりました。低学年なので、難しいことを言ってもわからないため、とにかく楽しく、そして大きく体を使うことを教えています。5人のコーチで幼稚園や小学校を回っています。怪我には十分に気をつけて、楽しかったと言ってくれればそれが一番」と語った。

今年は幼稚園、保育所と小学校で計200か所訪問活動

岡村幼児園を訪問したスターマン号を運転していたのは横浜DeNAベイスターズ野球振興・スクール事業部の畠山準氏。池田高校時代に甲子園で優勝投手となり、南海ホークス、大洋・横浜で活躍したレジェンドだ。畠山氏は普及活動の先頭に立っている。
「僕たちがやっている訪問活動は野球も習い事もまだやっていない一番下の世代の子供に、少しでも野球を体験してもらって、ボールを投げるのが好き、ベイスターズが好き、になってもらうのが目的です。大事なのはどうやって教えたことを継続してやってもらうか。だから未就学児と小学低学年の2段構えで訪問活動を実施しています。今年は幼稚園、保育所を100か所、小学校を100か所の200か所訪問する予定です。少しでも野球離れを食い止めるために、できることはすべてやっていきたいですね」
