ソフトBドラ1甲斐野、柳田のバットへし折った!最速150キロ連発

 衝撃の剛球だ。ソフトバンクのドラフト1位右腕・甲斐野央投手(22=東洋大)が7日、宮崎キャンプでフリー打撃に初登板し、柳田悠岐外野手(30)、上林誠知外野手(23)と対戦。柳田のバットをへし折り最速150キロをマークした。計37球で安打性の当たりは3本。2年連続日本一軍団にまた1人、強力な救援投手が加わろうとしている。

フリー打撃に登板する甲斐野(撮影・岡田 丈靖)

 バキッ。柳田のバットが真っ二つに折れると、球場からどよめきが起こった。外角に投じた14球目。東洋大時代に最速159キロを誇った甲斐野が、そのパワーをまざまざと見せつけた。「この時期は投手が有利。バットが折れたのは柳田さんのスイングスピードが速いからです。詰まった折れじゃない」。謙遜するものの、堂々のピッチングだった。

 柳田への初球は、昨季首位打者に「速っ!」と感嘆の声を出させる威力。最速150キロを数度計測し、常時それに近い球を投げ込んだ。捕手を務めた甲斐も「ギータさん(柳田)でギアが上がった」と証言する。

 それも当然。待ちに待った対戦だった。昨年11月の仮契約の際に柳田との対戦を熱望。「紅白戦で三振を取りたい。どこまで通用するか肌で感じたい」と宣戦布告していた。フリー打撃初登板でいきなり主力、それも、その柳田が相手。「力んだ。最初は“ヤバっ”と思ったけど、投げたら、自分のボールを投げることに集中した」と振り返った。

 上林、柳田の2人に全て直球で計37球を投じ、ボール球は10球。安打性の当たりは上林の2本、柳田の1本だけだった。工藤監督は今キャンプで主力のA組に即戦力と見込む新人4投手を抜てき。その筆頭格の期待にたがわぬアピールに「速いですね。折れましたしね。1面、確定ですね」と頬を緩め「左(打者へ)のインサイドは、かなり力がある」とうなった。キャンプインからすでにブルペンで2度組んでいる甲斐は「打者が立っても同じように投げられていた」とうなずいた。

 大学3年時からアマ球界では珍しく、本格的な抑えとして起用された。プロでも一昨年MVPのサファテ、昨年セーブ王の森ら球界屈指の救援陣に1年目から割って入る意気込み。将来目指すところは、もちろん「セーブ王」だ。1段ずつステップを踏んでいくキャンプ。9日からの第3クールではシート打撃が始まる。一貫したテーマは「力感をできるだけなくしてリリースできるか」。この右腕、静かな太刀で豪快にぶった斬る。(後藤 実穂)

 ≪13年“大谷&菅野超え”≫13年キャンプで新人だった日本ハム・大谷は、初のフリー打撃登板で打者の石川に「145~150キロは出ていた」と言わせた。その3日後のブルペンでは148キロを計測。同年の巨人の新人・菅野は初のフリー打撃登板で最速145キロだった。

 ◆甲斐野 央(かいの・ひろし)1996年(平8)11月16日生まれ、兵庫県出身の22歳。桜丘小3年から野球を始め、黒田庄中では軟式野球部に所属。東洋大姫路では1年秋からベンチ入りも甲子園出場なし。東洋大では4年春に最速159キロをマーク。東都1部リーグ通算34試合で8勝4敗、防御率2・11。1メートル85、86キロ。右投げ左打ち。