いまどき球児たちの本音が聞ける!?選手座談会|健大高崎

2学年で74名という大所帯の健大高崎野球部。全国各地から進学してくる選手も多く、大半は寮生活を送っていますが中には自宅から通っている選手もいるんだとか。そこで今回は寮生活を送る選手、通学の選手の三人にチームのこと、寮のこと、学生生活のことなど、色んなことを語ってもらいました!

走塁練習ばかりやるのかなと思ってました

【座談会メンバー】
写真中央:辻憲伸(つじ・けんしん)寮生
2年 三塁手 175cm/71kg 右投/左打 三重県桑員ボーイズ出身
写真左:田口夢人(たぐち・ゆめと)寮生
2年 遊撃手 167cm/66kg 右投/右打 栃木県下野ボーイズ出身
写真右:川村貢(かわむら・みつぐ)自宅生
2年 学生コーチ(内野手)168cm/58kg 右投/右打 群馬県藤原ボーイズ出身

――まず健大高崎に進学しようと思ったきっかけから教えてもらっていいですか?
田口「機動破壊という印象が凄く強くて、自分も大きいのを打つ選手じゃなくてスピードで勝負するタイプの選手なので、プレースタイルに合っているなと思って、ここでどこまで通用するか試したいなと思って選びました。見学にも来ましたけど、練習の内容も選手一人ひとりもレベルが高いなと思いました」
川村「自分は1学年上に姉がいて健大で女子マネージャーをしていたことが大きいです。チームのこともよく聞いていました。姉と同級生の先輩も優しく接してくれて、ここでやりたいと思って決めました」
「自分は練習の見学に来た時にチームの雰囲気が良くて楽しそうだったことが大きかったです。あと寮や練習施設など環境も整っていて、野球に集中できる環境も揃っているのでそこに魅力を感じました」

――練習は楽しそうだった? 今日のトレーニング見ているときつそうだけど、厳しそうだなとは思わなかったですか?
「厳しいのは当然厳しいんですけど、その中にも楽しさがあるなと思いました」

――実際に入学、入部してみてどうでしたか?大変なことは多かった?
田口「最初は練習も厳しいと思いましたけど、それよりも寮や普段での生活に慣れるのが大変でした。あとは中学まではチームの中心選手で、少しテングになっていた部分もあったと思うんですけど、そんな気持ちで3年間やっていたらダメだなと思いました」
「勝手なイメージとして走塁練習ばかりやっているのかなと思っていたんですけど、実際はそんなことはなくて、最初のミーティングで細かく色んなことをやっていくと聞いたのを覚えています。中学時代は打つなら打つだけみたいな感じでしたけど、ここでは頭を使ってやらないとやっていけないと思いました」

――ちなみに川村くんは学生コーチという立場ですけど、これはどういう経緯でやることになったんですか?
川村「毎年誰かが学生コーチになるんですが、2年の夏の大会が終わった時に自分から言い出して決めました。技術的に足りていないという思いがあって、そんな中でチーム全体の役に立って甲子園に近づけるためには自分がその役割をやった方がチームのためになると思ったからです」

――普段の練習での学生コーチの役割はどんなものがありますか?
川村「練習前の準備にやることが多いんですけど、練習中はノックを打ったり球出しをしたり補助的な役割に回ります。あとはコーチからはまず自分に指示が来るので、そこからスムーズに練習が進むように調整することが役割になります」

――選手の二人から見て、学生コーチの川村くんの働きぶりはどう見えていますか?
「自分たちがプレーに集中できるように練習前から準備してくれていますし、監督やコーチに対して選手の間に入って確認してくれるのも川村なので、そういう面では本当に助けられています」

週一の外食の日はオシャレして出かける!?

――入部してきて「こいつ凄いな」と思った同級生の選手はいますか?
「稲村(紀)ですね。センターを守っている選手です。普段は優しそうな顔してるんですけど、バッティングも凄いし足も速くて肩も強くて。最初の練習で室内でバッティングしたんですけど、いきなり凄い当たりを打って驚きました」
 
――先輩ではどうですか?
「やっぱり山下(航汰・巨人育成1位)さん、高山(遼太郎)さんですね。入学前の選抜甲子園も見に行ったんですけど、その時まだ下級生でも凄くて。1年後にこんな選手になれるのかな?と思いました」
 
――普段は休みはありますか?
「月曜日が休みです」
 
――休みの日は何をしていることが多いですか?
田口「自主練してるか、部屋で休んでいるかですね」
「あとはウエイトやトレーニングしている選手が多いです」

――外に遊びに行ったりすることはないですか?
川村「自宅から通いの選手は行きますね。高崎駅の周りで遊んだり、カラオケに行ったりすることが多いです」
 
――寮生の二人は外に行きたいとは思わない?
田口「1年生の時は外に行ったりもしましたけど、最近は疲れてきて、休める時は休みたいと思うようになりました(笑)」
「シーズンに入ると土日はほとんど試合で、平日でも午前中で授業が終わる火曜日や木曜日に試合が入ることが多いので、そのために休んだり練習したりすることの方が多いですね」
 
――試合ではない時の普段の練習時間はどれくらいですか?
「朝は全体練習はなくて各自で自主練です。火曜日と木曜日は14時くらいに始まって大体19時くらいまで。それ以外は16時15分くらいから19時半までです」
田口「前は20時くらいまでやってましたけど、最近は終わる時間を決めてちゃんと晩ご飯を食べて寝ないと体が大きくならないということで少し短くなりました」

――普段の練習できついと思うのはどんなメニューですか?
「今日みたいなトレーニングがきついです(苦笑)」
田口「あとはメモリアル」

――メモリアルってどんなメニュー?
「グラウンドの外周に『メモリアル』っていうコースが800メートル、500メートルの二つあるんですけど、その1周を決められたタイムで走るメニューです」
 
――(トレーナーの)塚原さんが来ると今日はきついなって思いますか(笑)?
田口「来られる曜日が決まっているので来るのは分かってるんですけど、『ひょっとしたら今日は来ないんじゃないか?』って期待する時があります(笑)」
「大体アップの途中にいらっしゃるんですけど、やっぱり来たかとは思います(笑)。始まったら始まったで楽しみながらやるんですけど、始まるまでがメンタル的にきついですね(笑)」

――青栁監督は練習では厳しいですか?
「普段は各担当のコーチから言われることの方が多いです」
田口「試合の時と私生活について言われます」

――私生活ではどんなことで叱られる?
川村「授業中寝たり、騒いだりすると先生から監督に伝わって叱られます」
「あと野球ノートの字が汚いと注意されます」
田口「自分も字が汚くて言われました」

――スマートフォンはOKですか?
「SNS以外はOKです」
 
――どんなことに使ってる?
「Youtubeで野球やボクシング、K-1をよく見ています」
田口「あとはZOZO TOWNやAmazonで服を買ったりするくらいですね」

――買った服を着て出ていく機会はありますか?
「日曜日の夜は寮で晩ご飯が出なくて自分たちで食べに行くか買いに行かないといけないので、その時に着ていくくらいですね(笑)」

――有名人で誰が人気あるとかありますか?
田口「乃木坂とか欅坂ですかね。齋藤飛鳥さん(乃木坂46)が好きです」
「自分は(乃木坂や欅坂は)そうでもないです。昨日テレビ見ていて、川口春奈さんがかわいいなと思いました」
川村「自分もそんなにいないですけど、西野カナさんの歌は好きです」
「そんなに有名人の話題で盛り上がることはないですけど、寮のテレビ見ていて、『あの子かわいい』みたいな話にはなりますよ」

――同級生の仲はいいですか?
三人「仲はいいです!」

『大恋愛』『代償』…小説を選手間で回し読み

――これまで対戦した中で一番すごかった選手は誰ですか?
「くまのベースボールフェスタで対戦した(創志学園の)西君ですね。あと実際に試合はしていませんけど東邦の石川君は小学校の時から凄いと評判で、プレーを見ても実際に打球とか凄かったです」
田口「自分も西君ですね。ストレートは速いのは分かっていてイメージしていましたけど、やっぱり速くて。あとスライダーは見えなかったです。あんまり空振りしないんですけど、どう打ったらいいか分からなかったです」
「自分は左打なんですけど、(西の)チェンジアップがストレートと同じ腕の振りで、ボールも途中まで同じ軌道で来て、振りにいったら逃げていく感じでした」
 
――試合自体は4-0で勝ちましたけど、そのことが自信になりましたか?
「相手のミス絡みで先制したのでそんなに自信がついたという感じはないです」
田口「ただ、打って勝ったというよりもちゃんと守って0点で抑えられたことはチームとして良かったと思います」

――ライバル校をあげるとするとどこですか?
三人「前橋育英です」

――去年の春は勝ったけど夏はずっと負けていますね(夏の群馬大会は3連敗中)。先輩たちが勝てなかったのを見て、足りないと感じるような部分はどこにありますか?
田口「去年とかは選手個人で見れば絶対に負けてなかったと思います。それでも勝てないのは育英がスローガンにしている『凡事徹底』を本当に徹底してやっていて。健大も練習は意識高くやっていると思うんですけど、私生活とか普段から意識高く取り組むという点で差があったのかなと思います。夏はそういう部分が本当に大事なんだなと感じました」

――他に気になるチーム、選手とかいますか?
「まだ対戦していなくて見てもいないんですけど、桐生第一に二人いいピッチャーがいると聞いているのでそれは気になっています」
 
――『機動破壊』の本は入学前から全員が読むように言われていると聞きましたけど、普段他に本を読んだりしますか?
「小説とかは結構読みます。今自分は『大恋愛』読んでいます」
田口「最近読んでめっちゃ面白かったのは『代償』ですね。面白いのがあると結構選手間で回したりして読みます」

――寮には自習室もありましたけど、普段勉強はしますか?
田口「寮ではしないです(苦笑)」
川村「テスト前だけですね。夜詰め込むだけです。赤点とると課題が出て、練習に出られなくなるので」

――ちょっと話は変わりますが、将来もしドラフト1位でプロ入りして契約金1億円もらったら何に使いますか?
川村「自分は車買いますね。911(ポルシェ)のカレラが欲しいです(笑)」
「半分は貯金して、半分はその時ほしいものを買います」
田口「とりあえず東京とかに行ってみて、街をブラブラして、欲しいものを見つけたら買う、みたいな感じですね」
 
――辻くん、今欲しいものはない?
「今は正直あまり出てこないです。休みも含めて時間が欲しいです(笑)」
 
――普段の生活まで色々話してくれてありがとうございました。最後に最終学年での意気込みをそれぞれお願いします。
「まずは前橋育英を倒して夏の甲子園に出て、最終的には甲子園でも優勝できるように取り組んでいきたいです」
田口「自分も夏の群馬大会の決勝で育英に勝って、全国制覇目指してやります」
川村「勝つためには全員の力が必要だと思うので、試合に出ていないメンバーも下級生も含めて全員で一つにならないといけないと思います。全員が一つの方向を向いて、小さいことから取り組んでいくようにしていきたいです」

きついトレーニングの後にありがとうございました!

(取材:西尾典文/写真:編集部)