「野球の技術と身体の使い方教室」レポート(1)

2月9日、ヤキュイクでも以前登場していただいた「NPO法人日本少年野球研究所」の佐藤洋さんと、その佐藤さんが現役引退直後から交流のある110mハードル元日本代表の平岩時雄さんが講師を務める「野球の技術と身体の使い方教室」が埼玉県川越市で行われた。開催当日は小雪がちらつく生憎の天気だったが、40名近くの選手、指導者が参加。その様子を佐藤さん、平岩さんの解説を交えながら3回にわたってレポートする。

走る時のポイントは「(1)真っ直ぐ、(2)軽く」

佐藤さんは東北高校、社会人の電電東北を経て1984年のドラフト4位で巨人に入団。投手以外の全てのポジションをこなすユーティリティープレイヤーとして活躍し、引退後は「NPO法人日本少年野球研究所」、「MFT野球スクール」の代表として育成年代の野球指導にあたっている。一方の平岩さんは現役時代110mハードル日本代表として活躍。引退後はトレーニングコーチとなり、あらゆるトップアスリートを指導。野球界でも多くの選手のパーソナルトレーナーを務めている、フィジカルトレーニングのスペシャリストだ。

今回参加したのは少年野球、中学野球の選手とその指導者、保護者が中心。まずはウォーミングアップを兼ねて、平岩さんからサイドステップ、スキップ、バックステップなどあらゆる動きが指示されたが、その時に盛んに言われていたのは「トン・トン・トン・トン・トン」や「タッ・タッ・タッ・タッ・タッ」というような擬音で表現されるリズム。
走る時にあらゆるステップでもポイントとなるのは『(1)真っ直ぐ、(2)軽く』の2点。

真っ直ぐとは足が地面についた時に脚も体も地面に対して真っ直ぐにするということ。これが開いてしまうと動きが硬くなり、スムーズさが出てこないという。軽くというのは文字通りステップの軽さ。それを意識させるために、前述したような擬音を使っていた。

次にポイントとして挙げたのが足を上げた時の関節の角度だ。斜めに足を上げるステップを行ったが、その時に膝の角度、足首の角度は狭く、アルファベットの「Z」の角度を意識するという。足を上げた時につま先が下がると設置する時に足を地面に対して平行に戻す動きが入り、それだけロスが発生するというのだ。この角度を意識するだけで走る動きは大きく変わるという。

このようにしてポイントを抑えた動きを実践することで、最初に走っていた時と比べて参加した選手達の動きは見る見るうちに軽快になっていった。

投げる時の最初と最後に「真っ直ぐ立つ」

ステップの後には肩甲骨がどこにあるかを意識しながら腕を回す準備運動を行い、佐藤さんにバトンタッチ。
まずは基本の投げる動きからスタートした。ここで佐藤さんが挙げていたポイントはとにかく真っ直ぐ姿勢良く立つというもの。

右投げであれば左足を上げるが、まずはその姿勢でしっかりと真っ直ぐ立つということ。そして投げ終わった後に踏み出した足一本で真っ直ぐ立つという二点を注意するように指導していた。

佐藤さんの話では、とにかくこの最初と最後に真っ直ぐ立つということができれば、その間の動きは細かいことを言わなくても安定して投げることができるようになるという。逆にその間の動きを指摘しすぎることで、イップスになってしまう選手が多いのも問題とのことだ。

また、軸足で立つときにはもう一方の足の近くに持っていくと重心が移動して真っ直ぐ立ちやすいこと、そしてある程度前の足を高く上げることで全身の動きが出て、肩甲骨、上半身も大きく動かしやすくなるということもポイントとして伝えられた。

「片足立ち」で安定感をアップさせる

実際にボールを使って投げるところまで行った後は再び平岩さんにバトンタッチ。
二人一組になり、投げる時に片足で立つ姿勢でけんけんを5回、その後はお互いの足を持って再びけんけん、そしてその状態で回る、前に進む、そしてけんけんでジグザグに進むなど、片足で立つということにフォーカスした動きが実践された。

ここでもとにかく言われていたのは「真っ直ぐ」姿勢を保つということ。片足で立って動こうとするとどうしても足元に意識が行って姿勢が悪くなるが、そうならないように前方を見るなどすることがポイントになるという。
『片足で立つ』と一言で言うと単純だが、あらゆる動きを取り入れることでその安定感をアップさせる狙いがある練習だった。

「レポート2」では捕球から送球動作への流れ、佐藤さんと平岩さんのお話などをお伝えする。

(取材・動画:西尾典文/写真:編集部)