DeNA 上茶谷 2回完全デビュー!ドラ1腕今季も大当たりの予感

 ◇練習試合 DeNA5―3ロッテ(2019年2月20日 宜野湾)

<D・ロ>2回無失点のDeNA先発・上茶谷(撮影・村上 大輔)

 またドラ1が大当たりの予感だ。DeNAのドラフト1位・上茶谷大河投手(22=東洋大)が20日、ロッテとの練習試合で実戦デビューし、2回を完全に抑えた。直球は早くも自己最速タイの152キロを計測し、藤原恭大外野手(18=大阪桐蔭)との「ドラ1対決」にも三ゴロで完勝。DeNAは15年の山崎康晃(26)以降、ドラフト1位投手が1年目から活躍している。上茶谷も実力を発揮し、「ドラ1」の系譜を継ぐ。

 わずか20球で予定の2回を投げ終えた上茶谷に1000人の観衆から拍手が湧き起こった。完璧なデビュー戦に安堵(あんど)の息を吐いた。

 「試合前は緊張しました。全体的にストライク先行で低めも投げられたかなと思います。ちょっと自信がつきました」。初回、先頭の加藤を初球の146キロ直球で三飛に打ち取る絶好のスタートを切り、2番・藤原との「ドラ1対決」を迎えた。3球目、外角へ外れた直球は、球団のスピードガンで自己最速タイの152キロを計測。「打たれたらニュースに出てしまうと思って意識した」。オール直球勝負で最後は内角への144キロで詰まらせ、三ゴロに打ち取った。

 2回。昨季24本塁打を放った4番の井上を先頭で迎え、3球三振に仕留めた。144キロ直球、ツーシーム、最後はカットボールで空振りを奪う圧巻の投球だった。続くバルガスには中堅フェンスギリギリの大飛球。桑原のジャンピングキャッチに救われ、「1球も気を抜けない。もっと丁寧に高さも気をつけて投げないといけない。今日は60点くらい」と課題も口にした。

 東都大学リーグでは、4年春に6勝を挙げて3連覇に貢献しMVP、最優秀投手、ベストナインの3冠を獲得した即戦力右腕。夢のステージに飛び込んでの初めてのキャンプでも、自分らしさを失わずに調整を続けていた。第1クールでは、初日の初ブルペンこそカーブとチェンジアップを投じたが、その後は直球オンリー。「直球に磨きをかけないといけない」と原点の球種を磨き続け、この日は低めの直球がさえ渡った。14日にフリー打撃に初登板した際に絶賛したラミレス監督も「打撃投手のときよりも良かった。マウンドさばきもいいし、今日の結果には凄く満足している」とさらに評価を上げた。

 「今日は2回だけだし、打者も1巡していない。変化球の精度も良くなかったし、走者を背負ってからどうなるか」と浮かれることはなかった上茶谷。球団のドラフト1位投手は15年の山崎から今永、浜口、東と毎年「大当たり」が続く。開幕ローテーション入りへ最初のアピールに成功した上茶谷だが、このマウンドは「ドラ1伝説」の序章にすぎない。(町田 利衣)

 ≪15年以降毎年活躍≫15年の山崎康以降、DeNAのドラフト1位入団投手は1年目から即戦力として活躍している。16年から昨季までは今永8勝、浜口10勝、東11勝と3年連続左腕が好成績。浜口、東とルーキーの2年連続2桁勝利は球団史上初めての快挙になった。なお、前身球団を含むDeNAの新人右腕2桁勝利は56年秋山登25勝、62年稲川誠12勝、97年川村丈夫10勝と3人。上茶谷がクリアすればチーム22年ぶり。

 ◆上茶谷 大河(かみちゃたに・たいが)1996年(平8)8月31日生まれ、京都市出身の22歳。小学1年で野球を始め、衣笠中では京都レッドベアーボーイズに所属。京都学園では2年春からエースで甲子園出場なし。東洋大では1年秋に2部でリーグ戦デビュー。4年春は1部でリーグ新の1試合20奪三振をマークし、3連覇に導いてMVPに輝いた。1メートル81、83キロ。右投げ右打ち。