「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

あまり取り上げられることの少ない、“ママランナー”のランニング事情に迫る【ママランナー】座談会。
前編は、家族の時間を最優先にしつつも、お子さんが目覚める前や空いた時間を上手く活用して、旦那さまにも理解を得ながら走るママランナーたちの『走る理由』、『走ることで得られるもの』を中心に語ってもらいました。後編は、産後の体の戻し方から今後やりたいことなど、ママランナーだからこそ感じるランニングの楽しみ方に迫っていきます。

前編はこちらから。

出産後の体の戻し方は人それぞれ

―― 出産すると、ランニングを再開するまで、産前の状態に戻すのは時間がかかると聞きますが、みなさんはどうでしたか?

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

端山 私は出産前からヨガに通っていたので、産後もまずはママ向けヨガへ。少しずつ体を慣らし、走りたくなった3、4か月後に試しに走ってみると、骨盤底筋が戻っていなくて……。走ると、1分おきくらいにトイレに行きたくなり、「これはまずい」と。私はまだなんだなと、そのときは走るのをやめました。“走れそうだなと思ったら走って、無理だったらやめる”を繰り返しながら少しずつ慣らしていき、全く不安を感じることなく走れるようになったのは、産後2年が経過した頃。個人差については、人と比べることなく、淡々と受け入れていましたね。

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

鳥飼 私は妊娠中にマタニティスイムをしていて、産後2か月後から10回ほど骨盤矯正に通い、徐々に走り始めました。子連れOKのヨガも、いい気分転換に。走り始めは、体重が7kg増えたので体が重く、2-3kmを7’00″/kmのペースがやっとでした。産後2か月程度で6kmの大会に出てみたら、なんとか走りきれて……。当初は産後2か月で、ハーフに出る予定だったのが、無理だと思い断念……(笑)。産後にどのくらいでフルを走れるのか調べたら、4か月と書いてありました。さすがに2か月では厳しいですね。骨盤矯正の先生からも、産後3か月までは無理しないように言われていたので、産後4か月でハーフ(2時間切り)、産後6か月でフルマラソンを走りました。まだ授乳中で、夜中も3時間おきに授乳していたのですが、朝も半分寝ぼけまなこで、大会へ。月間100kmくらいの練習で、意外にも4時間を切れました。私の場合は、出産前に体を鍛えていたおかげで、骨盤のズレが少なく、体力の戻りは早かったかもしれません。体重は戻ってませんが……(笑)

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

岩原 出産前から走りたい願望が強く「産んだら絶対に走るんだ!」と思っていたのですが、実際に走り始めたのは産後4か月後くらい。「体重を戻したい、戻したい」という気持ちもあって、早朝4時から2時間ほど、走っていたのですが、やはり体が戻っていなくて……。腰のあたりに違和感を覚え始めたので、一度休足。2時間も走らなくてもいいだろうと、走る距離を5km程度にして戻していきました。

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

長谷川 体重はすぐに戻りましたか?

岩原 戻ることは戻るのですが、代謝が悪くなっているので、産前よりはペースが遅いですね。戻すために5kmを徐々に10kmにしたり、とにかく汗をかこうと着込んで走ってみたりもしました。

長谷川 産前とは体が全然違いますよね。

岩原 やはり胸が張ってきますね。走っていて、一時中断ということもあります。産後5か月くらいのときに、子供は両親に見てもらい、主人とハーフに出てみたのですが、10km手前で歩いてしまいました。結局、ゴールまで2時間くらいかかりましたね。しばらくして再チャレンジしたハーフでは、練習ができていたので、1時間42分で走れました。体が軽くなったのは、1年くらい経ってから。その頃には腰の違和感もなくなっていました。私の経験だと、産後半年までは、そんなにガツガツやらないほうがいいかなと思っています。1年経つと、「こんなに体が軽くなるんだ」という感覚になったので。あとは体重のコントロールですね。体重を戻さないと走れない。筋肉もないので、足が上がらず、ずって走っているような感じです。

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

長谷川 私は産後、3人目の次女を産んでからランニングを始めました。ランニングを始めた当初は、私がいないと子供がすぐに泣いてしまい、主人に「すぐに帰ってこい」と呼び戻されたり(苦笑)。1-2kmから始めて、5km、10kmと少しずつ距離を伸ばして、フルを2回走ったあとにウルトラにもチャレンジして走りきりました。「この歳から始めてどこまでいけるんだろう」という面白さがあるから走っています。私は何もスポーツをしてこなかったので、怖いもの知らずのところがあり、できなくて当たり前というところも。

走り始めたキッカケは、ダイエット。友人の結婚式を2か月後に控え、「友達と久し振りに会うのに、これでは……」と。歩くより走ったほうが消費カロリーが高いと思って、走ってみたのがはじまり。走り始めてまだ3年経っていません。もともと走るのは大嫌いで、おまけにぜん息持ちだったので、走ることを避けてきました。そんな私の様子を知った幼少期からの友人達は驚いてます(笑)。ランニングはいつから始めてもいいと思うんです。それは子供にも伝えています。

ママランナーが大会に出やすい仕組みを作ってほしい

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

――『ママ』になったからこそ感じる、走るメリットはありますか?

岩原 体のむくみがとれてスッキリするのと、気分転換になるということかな。

鳥飼 子育ては驚くほど体力を使うので、走って体力つけたほうが育児が楽になりますね。精神的にもリフレッシュされるので、心に余裕ができ、おおらかな気持ちで子供と接することができます。

長谷川 子供に目標を持って突き進む姿を見せることができるし、親子ランなどでいっしょに走ることで、親子の絆も深まり、共感を得ることもできる。また、季節を楽しむことができるし、車や自転車を使わずに、走ったり歩いたりする良さを感じられるなど、良いことばかり。

端山 とにかく心も体もリフレッシュできますね。自分のために使える時間が、ママにはとても貴重。仕事や育児からも離れて“汗をかく”というのが、私にとって最高のリフレッシュになっています。自由な時間があったら、飲みに行くよりも、走りにいくか、ヨガをしたい。走る時間は、集中して考える時間、無になる時間、ときには旦那さんとゆっくり会話する時間にもなります。

―― ママランナー向けに「こういうのがあったら嬉しい」というイベントやサービスはありますか?

岩原 託児所付きの大会があるといいですね。それと、バギーランOKの大会が増えてくれると嬉しい。

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

鳥飼 私も、ママが参加できるように託児所付きの大会が増えたら嬉しいのと、ママさん向けの大会を運営したいという思いがあります。子連れOKで、旦那さんも来てくれて、ママが走っている間は子供と遊んでくれたり、バギーランイベントがあったり。フィニッシュ時に子供を抱っこして写真撮影してくれるサービスもあったらいいな。クリック合戦が必至な人気大会では、“ママ枠”を作ってほしいですね。

長谷川 私も、ママ向けの託児付きの大会やイベントがあると嬉しい。小さな子ども連れでもウェルカムな雰囲気のファミリーイベントがあれば、子どもが走る楽しさ知るきっかけになると思います。運動量も増えれば、カラダもココロも強くなりますしね。

端山 家族全員で参加できるランニングイベントや、未就学児が参加できる大会がもっとあるといいですね。あと、マラソン大会の“ママ枠”。小さな子供がいる母親は、子供が体調を壊して、突然イベントや大会に参加できなくなることも多いので、キャンセル枠を譲り合えるサービスもあったらいいと思います。

―― では、どんなママランナーのコミュニティがあるといいですか?

端山 働くママランナー、あるいは、バギーランのコミュニティ。

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

長谷川 親子カフェなど、お子さんが小さくても気を遣わずに利用できるお店でママランナー限定イベントとか。ママでもキレイであり続けるための美容や健康、栄養に関して学べる機会があると嬉しい。

鳥飼 託児付きランステで、他のママさんとバギーランで交流できるママランナー会。実際に、ご自宅でやっているママさんがいますよ。

岩原 ママ同士で練習や情報交換ができるコミュニティがあれば参加したいですね。

バギーランやランニング情報の活用法

――ここまでも何度か触れてもらいましたが、バギーランについてはどのようにお考えですか? また、どのように実践されていますか?

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

岩原 バギーランは子供が6か月になって始めました。最初は7’00″/kmくらいからスタートして、ゆっくり。散歩にも連れていけて、子供は寝てくれるので、主人とお互いのストレス解消にもなります。冬場はおくるみを着させて、その上にダウンをかけます。年配の人からは振り返られたりもしますが、ランニング用はタイヤも太いので、少々の段差なら、ひどいバウンドはなく安全です。

長谷川 バギーからの景色が子供にとっても良いと聞いたことがあります。バギーランは「子供がかわいそう」という見方をされることもあるのでは?

岩原 最近はそういう風潮は少ないようですが、子供がもっと小さい頃は、バギーランをしていると周囲の目が気になったこともありましたね。

鳥飼 バギーラン用のバギーは新品だとかなり高いんですよね。近くに河川敷がないので、どのくらい使えるだろうということもあり、ネットオークションで購入。信号がないランニングコースには重宝しますね。子供は気持ちがいいみたいで、ぐっすり寝ます。旦那さんが走る人で、近くにランニングコースがあれば、バギーランはいいと思います。

端山 私のは普通のエアバギーで、ランニング用ではないんですが、結構な速さで走れて、安定します。よく行く駒沢公園はバギーランに対する目も優しいです。子供が今よりもっと小さい頃は、キャーキャー喜んでくれましたね。旦那さんもけっこう気に入ってました。

長谷川 私は、エアバギーは持っていたのですが、周りにバギーランをしている人がいなかったのと、「あんまりよく思われないのでは」ということがあって、子供を背負って早歩き。バギーランは憧れでした。

――ランニングに関する情報は、どのように活用されていますか?

鳥飼 エントリー情報はよくチェックします。

岩原 気になるのは、大会結果ですね。参加者がどのくらいのタイムで走ったとか。あとは、ランニング仲間の情報。変わらずトレーニングしてるなと刺激を受けることも。

長谷川 私は、インスタグラムのフォロワーさんとの情報交換が日課。ママランナーも多いので、お互いに励まし合っています。ウルトラマラソンに出たときはたくさんエールをもらいました。なかには、応援に来てくださった方も。私は初心者なんですけど、ランニングに関する相談をいただくこともあり、私の尺度でお答えさせてもらってます。インスタは、自分が走れないときに私の投稿を見て励みになるという方が1人でもいる限り、続けようと思っています。それもランニングを続ける上で、1つのモチベーションになっています。

端山 私は頻繁ではないですが、走っているときに見つけたきれいな景色などをシェアしてます。

長谷川 ママランナーの中には、朝の4時台から走っている人も。限られた時間の中で「時間を大切に使おう」と思うようになったとか、「走ることでその後のことがスムーズに進み、3時間かかっていたことが1時間で済むようになった」なんていう声も聞きます。それが走るメリットなんでしょうね。何も考えないときもあれば、走った後のプランを考えながら走っていることもあります。

岩原 私は、走ったときに投稿するのと、ママさんランナーがどのように時間を作っているのかチェックしますね。なかには、「すごい!」と思う方がいて、自分もそうなりたいと影響を受けています。

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

鳥飼 インスタで繋がるママさんには、暗い時間から走っていたり、走った後にキャラ弁を作っている人も。私はもともと朝は苦手だったんですが、他のママさんたちが、朝に時間を作っているのを見て、感化されています。反対に、「産後走ってます」とインスタにあげると、妊活をしているラン友からは、「希望になる」「産後1年でそんなに走っていて夢がある」 と言われることも。産後ランについてあまり情報がなかったので、子供を産むと走れなくなるのかなという不安はありましたね。そんなママの力になれたら嬉しいです。

長谷川 ランニングのサイトはよく見ています。ラントリップマガジンも、情報源の1つ。通勤ランの特集は面白かったです。

端山 私は、ランニングにまつわるライフスタイルものをよく見ています。朝4時に起きたら仕事をするか、それとも走るか、という状況なので、その人軸で価値観を語っているものがすごく参考になります。

鳥飼 コニカミノルタのフェイスブックも勉強になります。実業団の選手が、練習方法を動画で分かりやすく解説してくれているんです。

一同 そうなんですね。

―― 最後になりますが、ママランナーの先輩として、これから走り始めたいと思っているママに、励ましの言葉をお願いします。

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

岩原 ママだからこそ、走ることでリフレッシュできるし、心も体もスッキリする。まずは追い込まず、ゆっくり自分のペースで楽しむことが、長続きするポイントだと思います。

鳥飼 育児中のママはただでさえ大変なのに、自分の時間を捻出するのは本当に難しい。だけど、走ってみたいという気持ちがあるなら、旦那さんや周りの方に協力してもらって、ぜひチャレンジしてほしいと思います。走ることで、自分にとっても子供にとっても、きっといい面をたくさん感じられると思います。くれぐれもランニングにハマりすぎて、家族との時間がなくなってしまわないように(笑)

長谷川 走ることで自分と向き合えるし、新しい自分に出会えます! ママが笑顔で輝いていると子どもも嬉しいし、きっと笑顔が増えます!

端山 産後の体のダメージは、かなり個人差があると思います。産前の体のケアや体力作りなどの努力は大事ですが、それが報われないこともあります。走り始める時期もペースも、自分の体と向き合いながら、人と比べず、自分の心地いい感覚を大切にしてください。そうすることで、ランニングが最高のリフレッシュになると思います!

興味があったけれど、今まで踏み出せなかった……。そんなママの皆さんも、ぜひ今年は、自分のスタイルとペースでランニングを楽しんでみてはいかがでしょうか?

「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像 「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像 「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像 「「産んだら絶対に走るんだ!」ママランナー出産後の苦悩と楽しみ方のヒント」の画像

(写真 Eliana