【日章学園】「爪」も準備OK!センバツ出場校がアスリートネイルを体験
センバツ初出場する日章学園(宮崎)が、2月に専門家による「アスリートネイル」を体験した。ピッチャー10人、キャッチャー3名が参加し、ピッチングやスローイングに影響を及ぼす爪や指先の管理方法について熱心に耳を傾けた。知識を深め、万全のコンディショニングを行い、センバツでの勝利を狙う!
「夏場に、爪が割れて・・・」。大会前に爪にトラブル発生。どうする?
「爪」のコンディショニングが、いま注目を集めている。全国の強豪校の中で、マメ、深爪、割れ爪、ささくれなど、指先のケアに気を使っているチームが増えているからだ。センバツ初出場を果たした日章学園でも「最善の準備」目指し、畑尾大輔監督が発案。部員13人がケア方法やトラブル防止の知識について学んだ。

正捕手の深草駿哉選手(3年)は大会中に起こったトラブルを打ち明けた。
「僕は爪がよく割れるほう。特に、夏場に爪が割れることが多くて困っていました。放っておいたら血マメができてしまい、そのまま試合に出たこともありました…」。
爪のトラブルは深草君のように「放っておく」選手が多い。「病院に行くほどの大ケガじゃないし、我慢すればなんとかなる」。そんなふうに軽く考えている選手がほとんどだからだ。しかし「夏本番」を迎えたとき、自分の指先にトラブルが起こったらどうだろう。自分のパフォーマンスに影響がでるだけでなく、チームに迷惑をかけてしまうことになる…。
ネイリスト歴11年で、甲子園出場校のネイルトレーナーを務める茂木菜々絵さんは、そんな選手たちに警鐘を鳴らしている。自身のソフトボール選手経験をふまえ、選手たちにまず「爪は何からできているか?」を質問し、爪の構造を説明。3層になっている繊細な爪を爪切りで切る“リスク”についても触れた。

「爪のコンディションが悪いと、物を『掴む』ことに影響を及ぼし、ボールを投げる力が正しく伝わりません。私が担当していた高校のエースはヤスリによるこまめな爪の手入れで、3年間一度も爪のトラブルがなく、球速も伸びていき、プロ野球の道に進みました。小さな習慣が、大きなトラブル防止につながります。この機会に是非、自分の爪のコンディションを把握して、『割れない爪づくり』を知ってほしいと思います」と話した。
キャッチャーは特に爪が乾燥。土からの雑菌もキケン!

「放っておく」ことが多かった爪。今までなんとなくやり過ごしてきた深草選手は、茂木さんから「キャッチャーは土に触れる機会も多く、手が乾燥しがち。土から雑菌が入りケガが悪化することもあるので、より注意が必要です」と、乾燥防止に保湿クリームを爪や手に塗ることを薦められた。爪を噛む癖のある、ある選手は「急に癖を直すことは難しいと思うから、ヤスリで爪をこまめに磨いて、伸ばさないように気を付けることから始めましょう」と助言を受けた。
斜め45度の角度でヤスリを手に持ち、トレーナーから正しい磨き方を習った選手たち。茂木さんは「5年担当している高校生の選手は、オイルと紙製の爪ヤスリをセットにしてポーチに入れて持ち歩いています。友達とシェアして使うなど、工夫していましたよ」と他校の例を挙げ、無理のない範囲でのセルフケアを薦めた。
この日は全員が初経験ということもあり、驚きや笑いに包まれた無料体験会に。畑尾監督は「僕たちの時代にはなかった考え。『試合への準備』という意味で、選手たちのいい意識づけになったと思います」と効果に期待する。センバツでは、最先端の準備を行い、試合に臨むつもりだ。(取材・写真/樫本ゆき)