【大分】3年前に導入したアプリでチームの結束力が高まった
2014年の夏の甲子園に初出場して以降、5年間で3度も甲子園の土を踏んでいる大分高校。2014年以前は勝負どころで脆さを見せることが多かったチームを変えたのは、3年前に導入したアプリの存在だ。スマホアプリを介して高めた意思の疎通と結束力でチームは躍進を続けている。
場所や時間を問わずミーティングができる事が魅力
2014年秋に松尾篤監督が就任して以降、16年夏、19年春と2度甲子園へ導いた。最近では18年秋、19年春と2季連続で九州大会ベスト4入りを果たすなど、安定した強さを発揮し続けている背景には、3年前に導入したチーム管理アプリの存在がある。
「スマホを確認できる環境であれば、場所を問わずミーティング内容を振り返ることができるのが一番の利点。ミーティングをメモした速記係がノートを撮影し、アプリの投稿欄にアップします。ある子は家で、ある子は帰りの電車の中で、それぞれがそれぞれの場所で確認し、復習する機会を持てるようになったおかげで一方通行のミーティングがなくなりました」。
“振り返る”→“意識に刷り込まれる”→“徹底”という良い流れを作ることができた。

対戦チームの投手攻略や打線の封じ込めにも一役
練習中に指導したことを画像で振り返る機能の利便性も大いに活用している。例えば打撃や投球フォームに対する注意点に対して、プロ野球選手の参考になりそうな打撃フォームが掲載されている新聞記事のリンクを投稿欄に貼り、全員で共有する。
「以前は指導したことやミーティング内容を選手が本当に理解しているのかが不明瞭でした。しかし、チーム管理アプリを使うことによって、生徒は指導されたこと、指導者は指導したことなど、おのおのが様々な角度から検証できるようになりました」。

グラウンド外でも、チームの課題を確認でき、また課題解決につながる情報も共有できるため、チーム全体の共有財産が蓄積されていくのが実感できる。
今春センバツで松山聖陵と対戦した際には、相手投手の攻略や相手打線の封じ込めに効力を発揮した。
「3年も継続して使用しているのは、生徒の成長も実感できているからです」と語る指導者。チームにとって有益な情報を共有できるツールを味方につけたことで結束力も高まった。それが大分高校の快進撃の一翼をになっているのは間違いない。

松尾監督が実感!チーム管理アプリがもたらした3つの変化

【1】“おさらい”で意思の疎通、意識の共有が高まった
アプリで当日のミーティング内容を振り返り「意識に刷り込まれる→徹底」という良い流れができてきた。次のアクションをどう踏み出せばいいのか、判断材料になる。
【2】コメントを記入することで選手の理解レベルが明確に

試合での攻撃面、守備面での反省点を選手全員でコメント欄に記入し、それを全員で閲覧する。記入内容によって選手の理解度が浮き彫りになるため指導者にとっても役立つ。
【3】過去の試合結果が確認できて時短に

過去の試合結果を知りたいときは、野球部に1冊しかないスコアブックを開いて調べる必要があった。いまでは指導者も選手もアプリを開くだけで振り返ることができて時短につながった。

アプリの達人!田丸惠晴(2年 内野手)
アプリ活用に欠かせないミーティング速記係
ミーティングで指導者の話をノートに速記し、それを撮影しアップロードするのが田丸くんの仕事。その役割は極めて重要だ。「みんなが確認しやすいように、綺麗な字で書き、指導者と選手たちを繋いでいきたい」と意気込みを語ってくれた。


大分高校 SCHOOL DATA

●監督/松尾篤
●部長/廣瀬茂
●部員数/2年生28人、1年生9人、マネジャー2人
1952年創立の中高一貫私立校。野球部だけでなく、2011年の全国選手権で4強入りしたサッカー部、男・女ハンドボール部や書道部など文武両面で部活動が盛ん。
(取材・文・写真=加来慶祐 写真=安藤 隆)