【高校球児のための大学野球部ガイド】桜美林大学を紹介!
東海大、日本体育大、筑波大など強豪ひしめく首都大学野球連盟の中にあって、新興勢力として存在感を示しているのが桜美林大だ。2009年春からのリーグ加盟ながら、2016年秋に初優勝を果たすと、佐々木千隼投手(現ロッテ)、山野辺翔選手(現西武)などを擁して明治神宮大会でも準優勝。全国に一躍その名を轟かせることとなった。その後は2度の二部降格を経験したものの、いずれも1シーズンで一部に復帰している。そんな桜美林大を指導する津野裕幸監督にチームの特徴、方針、また高校球児へのメッセージなどをうかがった。
飛び抜けた選手がいないからこそ横一線のスタート
——秋のリーグ戦も終わって4年生は引退だと思いますが、現在部員は何人くらいが所属されていますか?
「1年生から3年生までの3学年で約140人ですね。授業のスケジュールが選手によってそれぞれ違うので、午前の班、午後の班というように分かれて練習しています。今後はどうなるか分かりませんが、現時点では入部希望者は全員受け入れています」
——監督が選手を指導されるうえで重視しているポイントはどんなところでしょうか?
「まず新入生には野球の前に大学生活、授業にしっかり取り組むようにという話はするようにしています。普段も身だしなみや生活面のことを指摘することが多いですね。あと大学まで来て野球をやるということは少なからず親に負担をかけることにもなりますので、そのことに対する感謝の気持ちを忘れないようにということですね」
——野球の面に関してはどうですか?
「以前は気になることがあるとすぐ指摘していたと思いますが、それで上手くいかないと感じることもあったので、今は私が全面に出るのではなく、まずは選手のプレーをよく見てみようというスタンスですね。その方が選手が考えるようになりますし、結果としても良い方向に出るように感じています」
——他に桜美林大の野球部の特徴のようなものはありますでしょうか?
「おかげさまで部員は多くなりましたが、全員が同じように練習できるという点はあると思います。リーグ戦の1か月前くらいからはメンバーを絞ることになりますが、それ以外は分けることはしていません。入ってくる時点で飛び抜けたような選手や、こちらが何度も足を運んでお願いして来てもらっているような選手はいないので、基本的には横一線で競争できるというのはあると思います」
——佐々木(千隼)投手も高校時代は騒がれた選手ではありませんでしたし、山野辺(翔)選手もレギュラーではありませんでした。監督からご覧になって、大学で伸びる選手の共通点などはどんなところでしょうか?
「まずは素直さを持っていること。あとはコツコツと自分でできることではないかと思います。大学になると自由になる時間が増えますし、自分で考えて練習することがほとんどです。そうなった時に楽な方に流されるのではなく、しっかりと目標を持って取り組める選手はやはり伸びますね。佐々木も入ってきた時は飛び抜けた能力があったわけではありません。でも2年生の時にジャイアンツとの交流戦で投げて好投して、それからプロが具体的な目標になって一気に伸びましたね」
高校時代控えでも大学で伸びる子がたくさんいる
——硬式野球部ができて短期間でこれだけの成績を残すことができた要因はどんなところにあるとお考えですか?
「まずは学校の全面的な支援は大きいですね。これだけの専用球場があって、昨年には立派な室内練習場も作っていただきました。あとはさっきも言いましたが、こちらが何度もお願いして来てもらうような選手がいるわけではありませんから、逆にこちらが先入観を持たずに選手をフラットに見られているのは良いのかもしれません。それに高校時代控えだった選手の方が謙虚に取り組んで伸びることもよくあります。メンバー外でもまだまだ伸びる余地のある選手はいっぱいいると思いますね」
——高校球児にこういうところを伸ばしておいた方が大学野球で活躍しやすいという点などはありますか?
「プレーの面では臨機応変に動ける選手ですね。練習でそれほど目立たなくても、試合では判断良くプレーできる実戦力がある選手は強いと思いますね。体は大学に入ってからも大きくなりますから、高校時代にそういう点が身についていると良いかと思います」
——最後に大学野球を続けようと思っている、また続けようか考えている高校球児に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。
「これも先ほど言ったことですが、高校時代控えでも大学で伸びる子はたくさんいます。だから少しでも野球に対してやり残した気持ちがあるのであれば、ぜひ大学でも野球を続けてもらいたいですね。うちはみんなが練習できる良い環境が揃っていますので、もし興味があればぜひ桜美林大の練習会にも参加してみてください」(取材・西尾典文/写真・編集部)