あなたの中にも眠っている?競技&語学の上達に共通するライフスキル[PR]
目標達成の第一歩は、目標の「明確化」
―その研修はどのように行うのですか?
椎名:たとえば、Jリーグの川崎フロンターレのアカデミーを担当していたときは、私が考案した目標設定シートを導入し、(シートはこちらからダウンロード可能 )「競技のスキル・テクニックに関するもの」「メンタル(気持ち・心構え)に関するもの」「コンディショニング(食事・睡眠)に関するもの」「学校/その他に関するもの」という4つの項目に、その月の目標を立ててもらい、毎日達成度を記録して、1か月経ったときにフィードバックを行うということを繰り返していました。
大山:すごく細かいんですね。小中学生くらいの子どもだと、なかなか埋められないんじゃないですか。
椎名:泣きながらやっている子もいましたね(笑)このプログラムは最初が一番肝心なんです。まず選手に目標を聞くと、「プロになりたい」とか、「W杯に出たい」とかまずは漠然としたものが返ってきます。じゃあどうしたらそれを達成できるのかをとことん掘り下げていく。何歳まで現役だとするとW杯はあと何回しかない。その期限までの年ごとの目標を立て、さらに月ごと、日ごとに落とし込んでいく。完成するまで帰れないよ!と盛り立てながら、大体8時間くらいはかかります。
大山:私のスクールのカウンセリングにも少し似ていますね。入会を希望する方とは、最初に面談を通じて「なぜ英語を話せるようになりたいのか」という目標を明確にしています。英語が話せるか、話せないかどちらがいいかと聞かれれば、それは話せたほうがいいに決まっていますよね。でもその理由を探っていくと、実は家族旅行で海外に行ったときに全くコミュニケーションが取れずに困ったとか、家族や友達に助けてもらうばかりで悔しかったとか、モチベーションの源泉が見えてきます。
椎名:そうなんです。でも一度目標やモチベーションが明確になれば、あとはそのシートに沿って日々の行動を行えばいい。いわばルーティンができるので、目標達成までの道のりがシンプルになります。
大山:人って意外と、自分が何をしたいのか、ほしいものが何かということを自覚していない場合が多いと思うんです。特に子どもの頃は、スポーツを始めるきっかけって些細なことだったりしますよね。
椎名:だから、目標が見つけられない子も当然出てきますね。適切な期限と目標を設定するのも一つのスキルなのですが、これが身に着くまでに3、4年かかる子もいました。
大山:私がそれに気づいたのは40歳の頃でした(笑)それまで漠然と仕事をしていたので、自分の目標や目的が咄嗟に浮かばなかったんです。そこで人生に期限を設けることから始めました。僕の場合85歳までは仕事を続けたいので、それまでの年齢を5年ごとに区切ってそれぞれの目標を考えていきました。
椎名:手間のかかる作業ですが、その場しのぎでは結局続きませんからね。なぜそうなりたいのか、という気持ちを強く持つためにも、目標設定と現状把握には時間をかけます。
―最初のハードルを越えられるかどうか、が目標達成を左右するということですね。
椎名:そうですね。私は8年ほどフロンターレのアカデミーを担当していて、そこではジュニア、ユースなど常に6チーム、合計130人くらいの子どもたちを毎年見ていました。そこでもやっぱり、「始められない」子が多い。目標設定とそのための日々の行動なんて難しいことを考えなくても、楽しくサッカーはできますからね。新しいことを「始める」ことのハードルは高いのだなと感じていました。
大山:僕がスクールを女性専用にしたのは、そのハードルを少しでも下げたかったから。誰しも、理想の自分を思い描くことがあると思いますが、現実とのギャップを埋めるために行動する人は非常に少ない。でも、死ぬ間際の人が後悔していることの8割は、やらなかったことへの後悔だというデータもある。だから、仲間意識を持ちやすい人たちが集まる空間を提供して、まずは始めることへのハードルを下げようと思ったのです。思いきって英会話を習おうとした矢先、すでにビジネス英語を使いこなしていそうな男性サラリーマンとすれちがったら心折れそうじゃないですか(笑)。
椎名:新しいことを始める、新しい世界に飛び込むというのは、すごく勇気がいることですよね。わたしも、スポーツ心理を学びたいという気持ちは高校生の時から持っていたのですが、留学したほうがいいのかどうか、悩んでいた時期もありました。でも短大時代に先生からアメリカ留学を勧められ、決心してからは、周囲に「絶対に留学する」と言いふらして自分を追い込んでいました。
<後編へ続く>
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