【明石商業】狭間監督が重視する「体のバランス」、ストレッチは継続することが大事!

春夏甲子園ベスト4の明石商業には兵庫県内の有望な選手たちが集まっている。チームを率いる狭間善徳監督は中学生を視察する上でどのような点を意識して見ているのだろうか? 話を聞いてみた。

兵庫県内の有望な選手が集まる明石商。中学生を視察する上で狭間善徳監督が見るポイントはズバリ“体のバランス”だ。
「ピッチャーだったら投げるバランス、バッターなら打つ時のバランスとタイミングの計り方。ここですね。もうひとつ言えるのは“いいスイングをしているけれど、体が大きくなったらなー”という選手は、なかなか思うように伸びません。体が小さくても体に力があれば高校野球では通用します。いいバランスの選手は間の取り方もうまいですし、多少ドアスイングでも体の力が強ければ指導次第でどうにかなりますね」。

狭間監督は、93年から13年間、明徳義塾中で監督を務め、全国優勝を4度成し遂げた中学野球界の名将でもある。明徳中の監督時代、小学生もよく見に行ったという狭間監督は、同じく体の使い方を重視した。
「その中で捕球のしかたも見ました。打球がこの辺りに来るかなと、しっかり構えられる選手はちゃんと打球が来るところが分かっている。それが分からない選手はもちろん指導すればその感覚は身につきますが、そういう感覚が幼いころから身についていたら、さらにレベルの高いところからスタートできますからね」。

中学生は身長が伸びて、体がちょうど作られている最中のため、体の使い方を理解するのが難しい時期でもある。体幹ができていないため、上体で投げようとする選手もいれば体幹ができてしっかり投げられる選手もいる。成長度は個々で違うため、一概に同じアドバイスはできないが、それでも狭間監督が大事にして欲しいと思うことがある。
「走り方ですね。走る姿勢、と言うんですかね。体育の授業などででんぐり返しや鉄棒などをすることがありますが、そういう体操のような動きができることで、体のバランスがついてきます。先天的な部分もありますけれどね」。今、高校野球の指導者が懸念しているのは高校生の体の硬さだ。体幹が硬い選手が多い中、体操に基づいたトレーニングメニューを取り入れ、体を柔らかくするという方法もあるが幼いころから継続して行っていくことも大事だ。
「(昨秋のドラフト会議で西武からドラフト1位指名を受けた)松本(航)は、幼いころから母親に勧められて柔軟性を意識したトレーニングをしていたお陰で体が柔らかかったんです。高校3年間でケガをすることもなかったですし、高校生になっても“柔軟(のトレーニング)をやらないと気持ちが悪い”と言っていたほど。体の柔らかさは、それくらい大事なんです」。

お風呂上りにストレッチをする習慣を身につけるだけでもかなり変わってくる。肩、ひじの柔らかさと言えば前田健太(ドジャース)も有名だが、前田も幼いころから風呂上がりのストレッチを欠かさず行っていたエピソードがある。「継続は力なり」とはよく言うが、柔軟性を高めるストレッチは、根気よくやってこそ成果がしっかり出てくる。
「そうやって体を柔らかくして、ちゃんとした投げ方を身につけることが理想です。実は投げ方だけは、大きくなったら直せないんです。そのためにしっかり土台を作って、良い投げ方を固めていけたら一番良いですね」。

そしてもうひとつは、やはり野球以外での表情だ。「話をきちんと聞ける子。目をちゃんと見て話せるかですね。“話は目で聞け”とよく言いますが、人の話をちゃんと聞くことは大事です。こちらが話をした時の表情で普段からの本人の取り組み方が分かりますね」。

野球がうまくても、周りが見えない、自分のことだけしか考えていない子供はやはり敬遠される。普段からどんな目標を持ち、どう取り組んでいるか。地道にコツコツと毎日やるべきことを積み重ねれば、将来に得られるものはあまりにも大きい。(取材・写真:沢井史)