【立花学園】遠隔地はハンデ? 選手に聞くinnovation

グラウンドから、夏の決勝戦が行われる横浜スタジアムまでは約60キロも離れている。中心地から離れていること、山奥にグランドがあることを選手はどう思っているのか。強みに感じていることとともに聞いてみました(取材は2月に行いました)。

[質問]
(1)入部のきっかけは?
(2)神奈川高校野球とは?
(3)ツイッターアカウントの有無(数)
(4)SNS・動画の活用法
(5)立地をハンデだと感じたことはあるか?
(6)立花学園の長所は?
(7)将来の夢
(8)ひとこと

主将・3年・遊撃手 濱田蓮(Ren Hamada)
●背番号6
●右投右打
●175㎝、72㎏
●平塚シニア出身

(1)2017年夏8強を見て、自分はこのチームで甲子園に行きたいと思ったから。
(2)夏は空中戦が多い。打つチームでないと勝ち上がれないと思う。
(3)有(1)
(4)自チームのアカウントも含め、ツイッターの動画や情報がたくさん出回っているので、閲覧して参考にしている。
(5)ない。
(6)充実した設備と思いきり野球をやれる環境。ドローンなど新しい器具を取り入れた練習で効率的に技術を伸ばせるところ。
(7)プロ野球選手。
(8)取材が多くなり、人に見られることに慣れてきた。見られると気づくことも多いし、結果を残さなければと思う。チームの目標である打撃力をもっと上げて、打ち勝つチームで夏に優勝したい。

3年・投手 小川真憧(Manato Ogawa)
●背番号11
●右投右打
●175cm、68kg
●瀬谷中野球部出身

(1)練習見学をしたときに室内練習場など環境が整っているのが良いと思って決めた。
(2)日本一の激戦区。
(3)有(2)
(4)野球や勉強に関係ないゲームアプリは部で禁止。ツイッターは本アカと別に、野球情報専門の野球アカウントを作って使い分けている。昔は知識を持った人の元に人が集まったが、今はそういう人が自ら情報を発信している時代。いろんな情報が拡がっているので活用しない手はないと思う。
(5)ない。
(6)施設はもちろんだが、「監督絶対」という風潮がなく選手が話し合い、意見を言える雰囲気があるところ。
(7)プロ野球選手。
(8)目標は甲子園です。ベスト8は何回もあるけどその上がないので春、夏は越えたい。

3年・投手 武井朋之(Tomoyuki Takei)
●背番号1
●左投左打
●165㎝、66kg
●中井中野球部出身

(1)家から近く(車で10分)、自分たちの力で8強の壁を越えたいと思ったから。
(2)奇跡(番狂わせ)が1回起こっただけでは優勝できない。まぐれでは優勝できない。
(3)有(1)。
(4)野球の動画以外にもYouTube講演家の鴨頭嘉人さんの動画を入浴中に見ている。響く言葉を言っているので勇気がわく。
(5)ない。
(6)志賀監督が試合前に必ず「ワクワクしているか?」と聞いてくるように、いつも楽しい気持ちで野球をやれているところ。ストレスが全くない。自分が成長するにはもってこい。
(7)プロ野球選手。
(8)自分の目標は夏までに130キロを出すこと。チームでの目標は春ベスト4に進出してその先の関東大会に出場したい。

3年・二塁手 渡辺望光(Nozomi Watanabe)
●背番号4
●右投右打
●172㎝、70㎏
●伊東シニア出身(静岡)

(1)シニアの試合会場で来たときに選手が主体的に練習していていいなと思ったから。
(2)レベルが高く、神奈川の代表は全国でも勝つイメージがある。
(3)有(1)。
(4)部のツイッターでリツイートされてくるトレーニングを試している。源田選手(西武)の守備の動画を参考にしている。
(5)少しある。
(6)学校からグラウンドが離れているところ(バスで約20分)。寮が室内、グラウンドと隣なので消灯時間を守ればいつでも練習ができる。山に囲まれているので騒音の苦情などがないところ。
(7)幸せな家庭。
(8)8強の壁は破りたいというか、破るしかないと思っている。私学4強(横浜、相模、桐光、慶應)を倒さない限り絶対に甲子園に行けない。

女子マネージャーもinnovation

(前列左から2年の)岩崎蒼生さん、杉山結郁さん、寺地悠莉菜さん、服部千華さん(後列左から1年の)玉乃井美咲さん、山口瑚桃さん、宮本桃葉さん(長谷川愛心さん=この日不在)。

8人の女子マネージャーもイノベーションを起こしている。2019年9月27日に開設した「ドキドキマネのワクワクblog」で野球部の出来事を毎日更新。練習での気づきや、試合の反省、テスト勉強の格闘やおにぎり作りのコツなど毎日違ったテーマを担当者が交代で執筆している。

「一度書いたものを吉田先生に見てもらい夜に配信しています」(服部さん)。
「読んでいる人の気持ちになって書いています。誤字脱字なく書くのが難しいです」(杉山さん)。

苦労も多いが、国語力、文章力向上にもつながっている。また「ボールパーク化計画」の一環として、練習試合のときに相手校の家族(子ども)に折り紙や、色鉛筆を渡して遊んでもらうなど、コミュニケーション能力も育んでいる。女子マネならではの細かい気づかいや感性がつまったブログによって、立花学園のブランド力、魅力が全国に拡がっている。


おにぎりやサラダチキンなど、練習終わりに寄るコンビニ商品の一覧をレポート。価格、タンパク質量、カロリーを紹介した(9月4日)。


補食のおにぎりは食物繊維が豊富な玄米を混ぜている。「始めは綺麗な三角形を作るのが難しかったけどだいぶ慣れました」と寺地さん。

昨年松田町内で行われた元横浜・渡辺元智監督、元美さんの食に関する親子対談に参加し、その内容を翌日すぐまとめた(12月22日)。

女子マネに憧れる人に向けたメッセージを記事にした。「どんなことをやっているか知ってもらいたかったので」と岩崎さん(10月3日)。

(取材・文:樫本ゆき/写真:出井健一郎)

SCHOOL DATA

●監督/志賀正啓 ●部長/塚田将喜●部員数/2年=32人、1年=40人、マネージャー8人
1928年松田和洋裁縫学校として開校。62年男女共学化。92年現校名に変更。野球部創部は1972年。甲子園出場はなし。部最高成績は県8強。主なOBは日暮矢麻人(ソフトバンク育成)、山口祥吾(ロッテー新潟アルビレックス)ほか。校舎は小田急線・新松田駅から徒歩7分の場所にある。