和歌山大・貴志「悔い残る」失投 無念の逆転負けに涙
◇関西地区大学野球選手権大会 敗者復活1回戦 京産大5―4和歌山大(2018年10月28日 大阪・南港中央)

和歌山大の貴志弘顕(3年=桐蔭)は敗戦後、しばらく動けなかった。ベンチ裏の通路にうずくまっていた。
「あの1球ですか……」と声を絞りだした。「まっすぐです。まっすぐが抜けてしまって……。なぜ、得意のスライダーかカットボールでいかなかったのかと悔いが残ります」
4―3と1点リードの7回裏1死二塁。代打の川岸裕太朗(1年=京都成章)への初球が高く浮き、左翼席へ逆転2ランを浴びた。
心にあるのは、この敗戦が大学最後の試合となる4年生への思いだろうか。
「4年生の方にはいろんな勉強をさせてもらいました。和歌山大の野球部始まって以来、初めての優勝を2年も続けて経験させてもらった」
昨年春の近畿学生野球リーグ戦で、和歌山大は創部94年目で初優勝を飾った。貴志も大学選手権で神宮のマウンドを踏み、1勝を刻んだ。今秋にもまた優勝できた。
「とても感謝しています。その4年生の人たちの思いを引き継いでいかなくてはいけませんが、まだ気持ちは切り替えられません」
涙をぬぐい、敗戦後のミーティングに駆けていった。(内田 雅也)