【準硬式野球紹介】先輩たちが本音トーク“ジュンコー”大好き座談会(前編)

選手やマネージャー、連盟役員など、準硬式野球の世界で活躍する5名の学生を招集。内にいるからこそわかる、マイナーだけ ど楽しすぎる“ジュンコー”の魅力を語ってもらった。

学業やアルバイトとの両立も可能
準硬なら野球を諦めなくていい

——はじめに、みんなが準硬(準硬式野球部のこと)に入った理由を教えて。

吉田 ぼくは親に無理言って大学に行かせてもらったので、アルバイトができる野球部に入るのが絶対条件でした。ちょうどプロ入りで騒がれていた鶴田圭祐さん(元楽天、現在米国修行中)をテレビで見て調べたら、帝京の準硬に所属していてアルバイトもできることが分かり、ここだ!と。で、AO入試で狙い撃ちしました。今年も大曲錬選手(福岡大)がドラフトの注目選手ですし、準硬式にも硬式に負けないくらい高いレベルの野球もあります。

井上 ぼくは地元が佐賀なのですが、高校の先輩が日大の準硬に入部したこともあり、九州遠征でチームが佐賀に来られたときに見学に行ったんですよ。そこでコーチの杉山さん(日大三時代キャンプテンとして甲子園優勝を経験)に出会い、“この人と一緒に野球したい!”って思ったのが理由です。

一同      おぉ〜ッ!!!

井上 ぼくもAO入試で受けたのですが、日大スポーツ科学部のAOは池江璃花子さんとか、平野歩夢くんとかオリンピックレベルのアスリートが集う狭き門で撃沈……。父が日大の理工学部出身なので“校友子女入試”という日大独自の入試方法で小論文と面接の入試を受けて合格しました。

井上絢一朗くん(3年)
日本大学・スポーツ科学部競技スポーツ学科所属。実行委員長と新人戦の委員長を兼任。チームでは内野兼捕手。

篠原 わたしは部活選びに3つ条件がありました。1つ目が一生の糧となるものを学べること、2つ目が打ち込める環境であること、3つ目は勉強と両立できること。自分で競技を続けるかも悩みましたが、最終的に野球部のマネージャーを選びました。なかでも準硬式は日本一を目指している環境にありながらも、野球だけでなく社会人の基礎を学べると知り、選びました。

——中央の準硬式はアルバイト禁止?

篠原 マネージャーはアルバイトOKです。選手は禁止ですが、年に数回、小中学生向け野球教室があるので、それらを部費に充てています!

篠原正子さん(4年)
中央大学・経済学部経済情報システム学科所属。高校時代は陸上選手。ガッツ溢れるマネージャーで新人戦委員長。

中島 わたしは高校時代、リトルシニアのマネージャーをしていたんですよ。ずっと大人に囲まれてマネージャー業をしてきたから、高校時代の先輩に誘われて大学で準硬を見学に行ったとき選手だけで野球をしているのに感銘を受けたんです。“大人がいなくてもできるんだ!”って。それで入部しました。

渡邊 わたしも高校で野球部のマネージャーをしていました。予選のチケットを売るところから動いたり、すごく熱心に活動していたんですが、運営の仕事が多く、練習試合で久々にメンバーを見て「あの子セカンドになったんだ……」みたいな状態になることがしばしばで、3年間燃え尽きられなかったんです。それで、学生だけでやっている準硬式なら現場とも積極的に関わることができるかもと思って選びました。

渡邊ももさん(3年)
立教大学・経営学部国際経営学科所属。高校時代から野球部のマネージャー。昨年から関東連盟の学生委員に。

レベルもモチベーションも千差万別!
自分に合った野球部を探そう

左から、帝京大学の吉田直矢くん、立教大学の渡邊ももさん、日本大学の中島希莉さん、中央大学の篠原正子さん、日本大学の井上絢一朗くん


——普段はどんな風に活動しているの?

吉田 帝京は、週6日八王子で活動をしています。練習は朝が多く、練習後は1限があるとき以外は100円で食べられる朝食をとって食堂でくつろぎます(笑)。お昼が入らないほど特大ボリュームなんですよ。夕方はアルバイトに行く人もいますが、自主トレをする人が多いです。帝京の準硬は学生トレーナーが充実していて、部員それぞれにトレーニングメニューを組んでくれるんですよ。

渡邊 帝京の学生トレーナーはすごいって聞いたことがあります。

吉田 そうなんですよ、きちんとした指導を受けてトレーナー活動をしていて、卒業後実際にスポーツトレーナーになる人も多くいます。

吉田直矢くん(4年)
帝京大学・経済学部経済学科所属。準硬ではレアな男子マネージャーとして練習補佐や選手のケアまで幅広く活躍。

井上 日大も週6で調布や世田谷で朝練習をしています。いろんな学部生が集まっているので、遠いところだと千葉にある校舎に行かなきゃいけない人もいて、1限がある人はその日休んだり、途中で抜けたり、学業優先でやっています。ちなみに僕は所属するスポーツ科学部のルールで、準硬以外にもサークルに入る必要があったので、相撲サークルと兼部しています。

一同 えーっ!?

井上 サークルなんでゆるめの活動ですが、時間があるときは裸足になって四股を踏んでいます。

一同 (笑)。

井上 日大のスポーツ科学部は、トップアスリートと友達になったりできるし、学んだことが野球に生かせるし、低酸素ルームとかプールとか研究のための運動施設も自由に使えるので、運動が好きな球児にはとてもオススメです。

篠原 中大の準硬は全寮制で基本的に毎日朝練習があります。火水金は夕方にも練習がありますが、学業優先で授業がない人が参加します。それ以外の日は、授業後に接骨院に行ったり寮に併設されたトレーニングセンターや河川敷で自主トレをしたり、 球場の横にある畑で野菜や花々の手入れなどをしています。

一同 さすが中大!

井上 中大は完全セレクション制でもありますよね。

篠原 そうですね。でも、ときには都心に遊びに行ったり、友達と飲みに行ったりもします。教習所通いも許されています。

中島 強豪部ばかりでちょっと恥ずかしいけれど、うちは日大の三崎町校舎にある法学部か経済学部のみが入れる部で、専用のグラウンドを持っていないので、グラウンドが押さえられた日に週1〜2日ほどのペースで練習しています。それに加えて土日は練習試合やリーグ戦のために動くというような感じです。

中島希莉さん(4年)
日本大学・法学部法律学科所属。野球好き一家で育った日本大学三崎町チームのマネージャー兼関東連盟役員。

井上 法学部や経済学部からうちの部に来ている人もいますよ。

中島 井上くんのチームは、日大のメイン部でどの学部からも入れるけれど、うちはもう少しゆるく野球をやりたい人に向けた存在なんです。練習も、授業がほぼなくて事実上の休校日になっている木曜日にやることが多く、学業には全く支障なく活動することができます。敬語もないめちゃめちゃフレンドリーな雰囲気で、とにかく楽しく野球をしていますよ。

渡邊 立教の場合、練習は月曜日以外毎日あるんですが、各自授業に合わせて平日は2〜3日選んで申告して参加する方式。堕落しなければ単位は取れる環境になっています。専用の練習場に加え、21時まで使える総合グラウンドやクラブハウスが併設されていて、気合のある人はその時間まで自主練しています。(取材・文:高橋美由紀/写真:小沢朋範)

後編に続きます)