【球児メシ】高校球児に「食トレ」が必要な理由
昔から「ドカベン」に代表されるように、トレーニングの一環として体を大きくするために大量の食事を食べる風潮のある野球部。最近では、無理やり食べさせることへの賛否もありますが、実際に食トレは必要なのでしょうか?
食トレなしで高校野球は勝ち上がれない!
タイムリー編集部がドラフト候補になりえる、全国トップクラスの現役球児を対象に行ったアンケートによると、9割を超える球児が「食トレ(食事トレーニング)をしている」と回答しました。食トレは、日々の練習と同じように、高校野球を勝ち上がるために必須なトレーニングとして定着しつつあります。
食トレが必要な理由は大きく2つあります。1つは進化する高校野球シーンにおいて、身体を強く・大きくしていくことが勝ち上がるために欠かせない要素になっているから。投手が球威や球速を求め、打者が飛距離や打球の速さを求めるなかで、強くしなやかな筋肉は必須です。
もう1つは、ケガを予防し、高校野球の頂上決戦である夏の甲子園を戦い抜くためのスタミナをつけるため。速やかに疲労回復できる、すみずみまで栄養が行き届いた筋肉や関節、疲労困憊のときも落ちない食欲、高い消化吸収能力を備えた内臓をつくる必要があるのです。
事実、栄養不足により多くの球児がケガをし、一度しかない高校野球人生を棒にふっています。高校野球の練習は中学野球とは比較にならないほど、ハードなものなのです。
ごはんの量を増やすだけでは失敗する!
いざ食トレをスタートしてみたものの、なかなかうまくいかないという人は多いでしょう。やみくもにごはんの量を増やすだけでは、すみずみまで栄養が行き渡った、強い身体はできません。
食トレを成功させるには、明確な目標を立て、スポーツ栄養学の知識に基づいたバランスのいい食事を必要十分な量食べる必要があります。ダイエットを成功させるのが大変なように、生まれ持った体格を変えるには並々ならぬ努力が必要なのです。
そこで食トレで結果を出してきた球児たちに成功の秘訣を取材してみると、3つのコツがあることがわかりました。
コツ1 自己流で“なんとなく”やらない
下の図は、食トレに励むある一般家庭の1日の食事(写真)の栄養分析表です。理想を100として表していますが、ビタミンやミネラルを中心に栄養が全く足りていないことが判明しました。保護者は食トレをしているつもりなのですが、実際は栄養が足りていないことが多いのです。食トレは、ただ量を増やすだけではダメ。量を増やしながらも、脂質や糖質ばかりが増えないように、さまざまな食材、メニューを摂取して栄養バランスを整えることも大事なのです。
コツ2 数字で目標を立てる
野球選手としていいパフォーマンスを発揮するために理想的な体格の目安は『身長—100=体重』となり、体脂肪率が8〜12%の状態です。
ポイントとなるのは、除脂肪体重。図を見てください。身長が同じA君とB君。B君のほうが10キロほど重く、一見すると体格よく見えますが、実はA君のほうが筋肉量が多く、理想的なのです。
ひと昔前は、大量の米をひたすら食べるように指導された時代もありましたが、糖質ばかりをとりすぎると肥満につながります。体重を増やすだけではダメ。栄養バランスのいい食事で体脂肪を意識しながら、質のいい筋肉を育てていく必要があります。
コツ3 チーム一丸となって取り組む
食トレは毎日のことですから、いかにモチベーションをキープできるかが成功のカギです。そのためには、個人で行うよりも、チームで取り組んだほうがずっと張り合いが出るもの。食トレで効果を出している選手のほとんどが、チーム一丸となって取り組んでいました。
欠かせないのが、監督・選手・保護者が三位一体となった構造。3者それぞれが情報を共有し合いながら一致団結して食トレに励むと、しっかりとした効果が出てきます。
ポイントになるのは、保護者の協力体制です。負担は少なくありませんが、大変なのは2年ちょっと。球児の夢のために頑張りましょう!
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(タイムリー編集部/光文社)
発売:2018年3月15日
判型:A5判・128P(オール4C)
定価:本体1,400円+税
ISBN-10 : 4295011169
ISBN-13 : 978-4334979904
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