【夏密着】幕張総合/選手、マネージャー、保護者。チーム野球で狙う「甲子園でまず一勝」

展示会や国際会議などが開催される「幕張メッセ」や、各種ショッピングモール、なにより千葉ロッテマリーンズの本拠地である「ZOZOマリンスタジアム」と、千葉県内でも大規模施設が集まる幕張。今回はそんな幕張にある、県立幕張総合高校野球部の春季大会試合を取材。そこには、選手だけではなく、マネージャーや保護者を巻き込んだ「チーム野球」があった。


幕張総合高校のマネージャー9名。下段中央が小野花(はんな)さん(3年)

まず出迎えてくれたのはマネージャーだ。幕張総合野球部には、1~3年まで総勢9名のマネージャーが所属。試合の応援に訪れた保護者会との連携も含め、忙しい顧問に代わり、マネージャーが対応しているという。

保護者会からは「いつも細かく動いてくれるので助かりますし、ついつい頼ってしまいますね」との声も。今回もてきぱきと対応してくれ、コロナ禍で保護者の入場も制限されるなか、スムーズに球場入りすることができた。

「(マネージャーの)人数が多い分、選手に対しても、保護者や学校を訪れてくださるお客さまに対しても、きめ細やかなサポートができるように意識しています」と3年生の小野花さん。

試合中には、スタンドでスコアを付けるのはもちろん、選手の姿を写真に収めたり、見学にきていた1年生の部員を取りまとめたりと、率先して動いている。写真の使い先を聞いてみると、「選手に見てもらうのはもちろん、部としてSNSを運用しているので、そこで使っています」とのこと。OB会と協力し、Instagramを運用しているのだという。どうしても試合を見に来られない保護者や、OBを中心に好評を得ているそうだ。


試合中、盛り上がる声かけのシーンが何度も見られた3年正部大成選

試合中たびたびスタンドから笑いが起こる場面があった。その対象は、幕張総合高校3年正部大成選手。ファーストを守る、チームのムードメーカーだ。

守備の途中でも、大きな声で「そこは取れる!できる!」「ピッチャー頼むぞ!」といった掛け声はもちろん、ピッチャーが抑えた際には「さすがですね~!」とおちゃらける場面も。スタンドが笑いに包まれ、グラウンドの選手との一体感も生まれているように感じた。  

そんな正部選手だが、もともとは小食で、線の細い選手だったという。冬の間、体重を増やすための「食トレ」にはげみ、今はバッティングに体重が乗るようになってきた。この日も4打数3安打、3得点の活躍。特にレフトへの当たりがよく、チームのクリーンナップとしても期待が高まるいっぽうだ。  

幕張総合の春季大会はベスト16の結果。監督や保護者も「ベスト8の壁が厚い」と口をそろえる。強豪ぞろいの千葉県内で奮闘する県立高校。チームとしての目標は「甲子園で、まず一勝」だ。マネージャー、保護者を巻き込む、本当の意味での「チーム野球」に、この夏を期待せずにはいられない。

※ 一部敬称略
(取材・文・撮影/山口真央)