さすが衝撃的な秘訣だらけ…!SNSでも人気の田中パウロ淳一「ピッチ内外で大事にすること」5つ
プレーヤーやマネージャー、経営者などスポーツ界で活躍している人々それぞれが持っているマイルールや座右の銘、こだわりなどを「5つ」紹介していただき、それについて語っていただく企画「Philosophies -5つの哲学-」。
今回は、複数のJチームでプレーした後、JFL・栃木シティFC(※)に所属する田中パウロ淳一選手です。サッカー実況アナウンサー・原大悟さんが「ピッチ内外で大事にする5つのこと」をインタビューしました。ピッチ内だけでなく個人のSNS発信など多方面で活躍を見せる田中選手が、活動にあたって大切にしている行動とは?パウロ節全開でお届けします。
※インタビュー実施時は、関東サッカーリーグ1部所属。その後、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2023にて優勝し、2024シーズンのJFL昇格が決定。
1.楽しませる
田中 ひとつ目は、「らくしませる」です。読みかた、間違えた!
原 文字通り、今楽しませてくれているってことですね。さっそくやってくれました(笑)
田中 はい、「たのしませる」です。小さい時からよく考えていましたが、高校に入ってより一層その思いが強くなりました。大阪桐蔭高校時代から、ずっと友達と笑わせ合っていたんです。笑いを取らないと罰ゲームみたいな、そういうノリってあるじゃないですか。
そこから、楽しませるって「すごく良いことやな」と感じました。人を楽しませると自分も楽しくなりますよね。サッカーやSNSなど、いろいろな面で多くの人を楽しませたいと思いながら活動しています。
原 プレーも楽しませることを意識されていますか?
田中 今まですごく意識してやってきているので、時には監督の逆鱗に触れることもあります。「監督が怒るって聞いたことないで」って言われたこともあります。
原 リスクはもちろんありますよね。SNSでも面白い動画を上げていらっしゃいますが、それは次々とアイデアが浮かんでくるのですか?
田中 これをやったら面白いんじゃないかっていうのは、いつも考えています。単純に人を楽しませるだけではなく、動画を見たことで僕に興味を持ったり、もしかしたら試合を見に来てくれたりするきっかけになるかもしれませんからね。実際、来てくれた方が何人もいます。
原 今の田中選手の姿は、高校時代のノリから作られているんですね。
田中 びっくりした。高校の時の一発芸みたいなギャグをひとつ、みたいな流れかと思った。ちょっと焦った〜!
原 それ、触れてほしいんですよね?
田中 やめてください、もうやめたんです、そういうの。
2.証明する
田中 現実はそう甘くないって、どの世界にもあることじゃないですか。今、僕は栃木シティでプレーしていますが、ここから上にいけるわけないと言われることがあるんです。でも、それを証明したい。
証明することで、ここからでもまだまだチャレンジしていけるよと、いろいろな人に勇気を与えられるかなと思うんです。
原 過去、実際に証明した、やってやったという経験はありますか?
田中 僕がプロのサッカー選手になれたことです。中学までの僕を知っている人たちは、将来プロになるなんて考えられなかったと思います。僕は上手くなかったし、チームも中学までは全国レベルではなかったから。
でも本当に身近な人たちは、絶対になれるって言ってくれていたんです。そういう人たちのためにも、証明しないといけないと今も思い続けています。
原 証明することで、周囲の見方が変わりますよね。
田中 僕が証明することによって、それを見た人が「自分もできるんじゃないか」と思って欲しいんです。
原 SNSを始めたときも、いろいろ言われたのではないですか?
田中 今でもめちゃめちゃボロクソに言われますよ。僕のことをよく知らないのに言ってくる人もいますし、そういった声は無くならないと思っています。でも、自分を追い込むわけではないですが、僕を叩く人たちにも届くくらい、より多くの人に証明したいですね。
原 サッカーを知らない人が田中選手のSNSを見つけて、「この人、誰だ?」と、スタジアムに足を運んでくれるというお話を先ほどしてくださいました。まさに、SNSで発信するメリットを証明されていますよね。
田中 「SNSを舐めるな、遊び半分で金儲けのためにやるな」と、いろいろなご意見をいただきますが、実際収益は子どもたちの試合招待などに使っています。レノファ時代に招待した試合でボロ負けしましたけどね…(笑)。そういうことも含めて、自分にプレッシャーをかけている、というのもあります。
3.みんなのために
田中 3つ目は、「みんなのために」。僕に関わる人みんなが僕のことを自慢できるような、そういう人に僕はなりたいということです。
「あのパウロがカフェで、1人でコーヒーを飲んでいた」とか、そういうことも言ってもらえるような人になりたい。もちろん、サッカーで有名になることがいちばん良いですが、人として、そういう人になりたいなと思っています。
原 田中さんがいるだけで、他の人をハッピーにできるような?
田中 カフェで隣に座った人に、自分から声をかけたいぐらいですね。「田中パウロ、いますよ!」って。高校生とかは「声をかけていいんかな…」と気を遣ってくれているのですが、僕はもう待っているから。ずっとイヤホンをつけているけど、もう音量ゼロ!
原 それなら、取ればいいのに!(笑)
田中 Instagramに「今隣にいます」とコメントが来てないかなってチェックしています。写真を撮ろうとしているなら、「写真?」って撮られにいきますよ。
原 そんなに待たれると、逆に声を掛けづらいですね。すごく絡まれそうじゃないですか。
田中 僕の良いところを聞きたいですね。「何で僕を知っているの?」「どこが好きなの?」って。
原 …すごいっすね、はい。
田中 逆に真面目な感じになると、人見知りが発動して恥ずかしくなるんですよ。砕けた雰囲気だといけるんです。なので、カフェでちょっとおしゃべりして、気分良く帰っていただきたいですね。
僕はとにかく何かサービスをしたくて、ほんまにシールを持ち歩きたいくらい。僕に会えたら「特別な限定シールやで」って渡したいんです。でも、「要らんわ、これ」って後で電信柱を見たらそのシールが貼ってあるのかなぁ。…何か嫌になってきた(テーブルに顔を伏せながら)。
原 まだ誰もそんなことしていませんから!でも、これはいい哲学ですね。
4.寝ること
原 「休みの日は何をしていますか?」という質問じゃないですよ、わかっています?
田中 え、違う?僕、本当に寝ないと力が出ないんです。睡眠をとても大事にしていて、毎朝その日の予定を見て、寝られる時間を確認しています。10分でも眠れたら、その後はめっちゃ元気になれるんですよね。本来であれば今日はもうちょっと早く帰宅して寝ている予定でした。
原 時間が押しているのは我々のせいじゃないです(笑)。
田中 僕次第か。夜もめちゃくちゃ寝ます。高校の時は寮に入っていたのですが、ある夜、火事が起きたんですよ。火災報知器が作動して、みんな避難して消防車も来て、そのときに「パウロがおらへん」ってなったんです。僕は起こされたらしいのですが、記憶にないんですよね。
火はすぐ消えたらしいのですが、翌日「なんでお前だけ避難しなかったん?」と言われて、僕は火事があったことさえ知りませんでした。避難しなかったならまだしも、火事を全く知らなかったので、さすがにヤバいなと。がっつり寝るのではなく、ちょっとずつ分けて寝ることも大事だなと思いました。
5.パンを食べる
田中 5つ目は「パンを食べる」です。なんで笑っているんですか?
原 意味がわからない(笑)。
田中 パンを食べているときは、人生の至福な時間です。パン、めっちゃ好きっす、止まらない。オフの日の朝に、5個くらい食べますね。練習の日はプレーに集中するべきなので食べないです。練習後もハードに動いた後なので、たくさん食えないです。なのでオフの日の朝、何も考えずたくさん食べます。パンって、マジうまいですから。
原 聞く必要があるのかわかりませんが…おすすめのパンはありますか?
田中 ミルクフランスかな。アスリートとして失格じゃないですか…
原 パンは別にいいですけど、Philosophiesというテーマとして、もう失格です。
田中 パンでパワーをつけています。パンを食べたら何でもできます、負けないです。ただ、訂正しないといけないのが、今はパンを食べられていないんです。
原 どういうことですか?
田中 今年に入って栄養士がついていて、厳しいんです。オフの日もパンを食べている場合じゃないよ、って。「他の選手はいいけど、(体質的に)あなたはダメです」って言われています。でも、僕はパンを食べるとモチベーションが本当に上がるんですよ。なので、パンを食べるためにこのシーズンを頑張ろうという気持ちでいます。
原 というわけで以上、田中さんの哲学をお聞きしましたが、5つは難しかったですか? 楽しませるために、あえて「パンを食べる」を出していただいたのかなとも思いますが…本当は名言のようなものが欲しかったんですけど、仕方ないですね。
田中 なんか流れ的に、こういうふうに書いた方がいいんじゃないかと…なので、「パンを食べる」は、本当は思っていないっす。いえ、思っていないということはないっす。ほかに挙げるとしたら、「自分を持つ」とかですね。
原 良いのがあるじゃないですか!
田中 「個性を潰さない」とかね。これは、マジで思っています。「SNSをしなければもっと上に行けるよ」と言われたことがありますが、それじゃ嫌だ。僕という個性を知ったうえで応援してくれるファンの方もいますし、応援してくれるきっかけにもなるので、オリジナリティを大切にしたいですね。
原 パウロさんの個性がしっかり出たと思います。ありがとうございました!