【佐伯鶴城】狩生聖真|進路はプロ一本!日本を代表する投手を目指す
この夏の大分大会は残念ながら準々決勝で敗退となった佐伯鶴城。狩生自身も最後の試合はリリーフでマウンドに上がり、5回5安打2失点と不完全燃焼に終わった。プロ注目右腕はこれからどこを目指すのか?目標、将来についてお話を聞きました。(取材日:6月25日)
刺激になった古川雄大の存在
━━中学時代は軟式野球部で遊撃手としていた狩生投手ですが、高校に入って投手に転向しました。迷いはありませんでしたか?
もともと投手をやってみたいと思っていたし、過去に森下暢仁さん(広島)など多くのプロ野球選手を育ててこられた渡邉正雄監の指導を受けられるということで、迷いはありませんでした。ただ、投手のことを何も知らなかったので、最初の頃は先輩にストレッチのやり方やブルペンでの投球練習を教えてもらいながら、少しずつ覚えていきました。
━━2年秋に「プロ一本」と表明しましたが、プロを意識するようになったのはやはり高校に入って渡邉監督に出会ったことが大きかったですか?
中学時代は大分県優勝や九州大会4強とそれなりに結果を残すことはできましたが、当時は遊撃手としてプロを意識できるレベルではありませんでした。高校に入ると、プロ野球選手になった渡邉先生の教え子の方が挨拶にいらっしゃることもあって、少しずつプロ野球を身近に感じられるようになりました。また、自分が1年生の時には3年生に同じ中学出身の古川雄大さん(西武)がいました。古川さんがどんどん注目されるようになり、ドラフト2位でプロ入りする姿を見たことも刺激になりましたね。
━━その後は順調に成長を続け、今春には150キロを計測し前侍ジャパン監督の栗山英樹さんにもその素質を高く評価されました。自分自身で成長を実感できているポイントはありますか?
去年の夏後も球速は144㌔からまったく伸びてこなかったんですけど、冬に体重や筋量も増えたこともあって、球の強さが出てきたなと実感しています。150㌔が出た時も指のかかりが凄く良かったので、納得のいく球が行っていました。また、下半身を鍛えたことで制球力も良くなりました。その効果もあって、試合の流れを自分で作れるようになってきたと思います。投手の経験が増えていくにつれて『ピッチング』を覚えてきたと言いますか、追い込んでからの球だったり、入り方だったり、いろんなことを覚えてきたと思います。変化球の使い方もそうだし、真っすぐの使い方にも幅ができてきたので。
「本物のストレート」が覚醒の気配!?
━━その一方で今季の練習試合ではストレートを捉えられて大量失点、という場面も何度かありました。
とくに今季最初の練習試合ですよね。富島(宮崎)を相手に先発し、5回9失点と苦しみました。あの頃はまだまだトレーニングが足りておらず“本物のストレート”ではなかったです。『飛ばない』と言われていたバットで結構打たれたので動揺しましたね。たしかに変化球でストライクが取れないぶん、ストレートを狙い打ちされた部分もありました。自分としてはスライダーの制球力がまだ納得できるレベルではありません。変化の曲がり始めが早く、相手に見極められることも多いからです。その結果、ボール球が増え、ストライクを取りに行ったところを痛打されるケースもありました。今でも自分の課題として残る部分なのですが、変化球全般の精度をさらに上げていかないと“本物のストレート”は生きてこないと思っています。
━━渡邉監督は「5月23日の練習中に真っすぐが良くなってきた瞬間があった」と言っていました。
自分もはっきり覚えています。ブルペン投球をしている時だったのですが、ボールの叩き具合も、指にかかる感触も“これ!”と感じる瞬間がありました。直後の四国遠征では、球速が出ていない(140キロ台前半の)わりに相手が差し込まれている様子を見て“これはいいぞ”と手応えを掴みました。それ以来“スピン量”を意識するようになり、ストレートを前に飛ばされることも少なくなったと感じています。また、夏に向けてブルペンに入る回数を増やしたところ、ストレートにキレも出てきました。
━━課題の変化球は、現在どの程度の仕上がり具合ですか?
スライダーはよりストレートに近い軌道からベース付近で曲げられるように練習しています。また、新しくフォークやツーシームも練習しています。まだ練習試合でも使っていないので夏の本番で投げるかは分かりません。いずれも遊び感覚で投げてみたら感触が良かったので、ちょっと練習してみようかなという程度で投げ始めた感じです。
━━いよいよ最後の夏です。ここまで素材を高く評価されながら、なかなか「勝利」を手にすることができていないだけに、期するものはあるはずです。
新チームになって以降は、ずっとダブルエースと言われている145㌔右腕の井上功大に頼りっぱなしで来ました。最近の練習試合では、試合後半からリリーフで登板することもありますが、本当は1試合を投げ切ってチームを勝たせるというのが自分にとっての理想です。やはり自分の持ち味はストレートなので、これを最大限に活かしてチームを勝ちに導きます。自分の投球内容より、とにかくチームが勝てばいいので。
━━将来へのイメージは描けていますか?
進路はプロ一本に絞っています。プロに行っても最初は体づくりに専念でしょう。まだまだ身長が伸びているので、なかなか体重も増えませんが、戦えるだけの体を手にしたら、そこから日本を代表する投手を目指していきます。(取材:加来慶祐/写真:編集部)
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