【プロ野球選手のパフォーマンス術】バファローズの最新コンディショニング法

意識を変えると身体が変わる! 最大公約数ではない、選手の個性に合ったアプローチ。これがオリックス・バファローズのコンディショニングのテーマです。各ジャンルのプロフェッショナルが集結し、選手のコンディショニングやパワーアップ、そして育成に力を注ぐチームの取り組みを直撃しました。

結果を出せる選手は自分で考えて行動する

シーズン中とオフで取り組みが変わります。1軍選手の場合、試合数の多いシーズン中はシーズン前の良い状態をキープすることが基本。体重や体脂肪、短距離スプリントなどを毎月測定し、筋量やスピードが落ちていないかをチェックしています。

今シーズン最も重視したのがリカバリー。質の良い食事や睡眠をとり、選手によっては交代浴を行うよう指導。食事面では試合後や夜にたんぱく質を多めに摂るよう伝え、試合後のロッカーでは管理栄養士の河南と選んだプロテインを溶かしたペットボトルとアミノ酸のサプリメントを手渡ししています。意識が高い1軍選手は自分に合う栄養素を自分で選ぶなど、ほぼ全選手が何らかのサプリメントをとっている。特に身体作りのためのプロテイン、運動後の疲労回復を促すアミノ酸のBCAAをとる選手が多いですね。

冬のトレーニングで球児におすすめなのが投げる・打つ以外の様々な動きをすること。これが自分の身体を思い通りに動かす土台作りになり、同じ動作ばかり繰り返すことで起こるケガのリスクも下げられます。球団では個々の選手に合ったプログラム作りを進めていますが、皆さんも自分に何が必要でどうなりたいかを考えることが大切。長所を伸ばすか、短所を補うか、チームで求められる立場を目指すのかを決めるとすべきことが見えてくる。また、西勇輝投手のように、決めたルーティンをブレずに守り抜くのも伸びる選手の共通点です。

1軍アスレティックトレーナー久保田和稔さん


愛知県出身。オリックス1軍のアスレティックトレーナー、ストレングス&コンディショニング担当。サザンミシシッピ大学でアスレティックトレーニングを学び、トレーニングやコンディショニングに関する各種公認資格を取得したスペシャリスト。元高校球児。

久保田トレーナー’s コンディショニングMEMO

【1】効率的なリカバリーで常に好調をキープ。
【2】全身をまんべんなく鍛えて強い身体を作る。
【3】自分のゴールは、自分の頭で考える。

食事による身体作りは継続が力になる!

主にファームの選手を担当し、各選手の体格や体質に合った食事や栄養の摂り方を指導しています。全選手に共通して話すのはバランス良く食べること。また体調維持、ケガ予防、リカバリーのためのサプリメントを推奨しています。スポーツでは栄養を摂取するタイミングが重要ですが、ファームの選手たちは常に忙しく、補食はもちろんプロテインを溶かして飲むのも難しい。だから試合後は吸収が速く、溶かさずに飲めるアミノ酸のサプリメントを用意しています。リカバリーには試合後30分以内にアミノ酸を、特に筋肉の分解を抑えて合成を促進するロイシンが高配合のものを摂るのが効果的。継続することで身体が変わるので、習慣化するのが理想です。

また、身体を大きくしたいなら、自分の消費エネルギー量より多くエネルギーを摂取する必要があります。今年1軍で活躍した宗佑磨選手も食が細くて身体が大きくなりにくかったのですが、自分で食事を考え、補食も活用して増量し、スタメンに定着しました。

各選手が自分に必要な食品や栄養素を自分で判断し、自主的に摂れるようにするのが最終目標です。球児の皆さんも誰かに言われるがまま取り組むのではなく自分で考えて行動に移せば、強い選手になれると思います。

管理栄養士 河南こころさん


兵庫県出身。管理栄養士。大学の栄養学部を卒業後、ラグビートップリーグや男子バレーVプレミアリーグの所属チーム、女子フィギュアスケーター等のトップアスリートを食事面で支える管理栄養士として活動。2017年7月、オリックス専属の管理栄養士に就任。

管理栄養士・河南さん’s コンディショニングMEMO

【1】野球のための栄養摂取はタイミングが重要。
【2】特定の栄養に頼らずバランス良くが理想。
【3】プロも球児も良質なサプリメント摂取はおすすめ!

自主的なコンディショニングに取り組む西勇輝投手。
十分な睡眠、アミノ酸などのサプリメント摂取を実践。